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■2022-08-13 : タイクーンの様子が変なのだ
 ファイナルファンタジー5の冒頭、「風の様子が変なのだ」で有名なタイクーン王が城から旅立つシーンがある。
 確かに風の様子は変かもしれないし、リメイク版の天野喜孝準拠の顔グラフィックの様子も変かもしれない。ただ、それ以上に、タイクーン城、ひいてはタイクーン王国のありかたも変ではないだろうか?

 城の役割というのは大きくわけて、「王の執政・外交拠点」「要衝の防衛拠点」の2つがある。
 ここでFF5の序盤のマップを見てほしい。
FF5 MAP
 大陸内にはタイクーンとウォルスの2つの国が存在する。しかし、タイクーン城の周りには治めるべき集落がない。きっと城下町が省略されているのだろう、という見方もあるが、旅人であるバッツがわざわざ近隣で野宿をしていることから、城だけがここにある可能性が高い。
 トゥールの村には運河の管理人がいるので、タイクーン領土と見て間違いない。しかしここから税を納めたり戸籍謄本の写しを取りに行ったりするのは極めて大変な冒険になる。なにしろ都合の悪いことに、村と城の間には海賊のアジトがある。タイクーン王がこれを放置していたのは様子が変なのだ。ただ、海賊と村人の関係はおおむね良好なので、海賊というよりは海の自警団めいた存在だった可能性がある。それゆえたいした問題にならなかったのだろう。

 この内海で海賊が活動しているということは、風の様子が変になるまでは、トルナ運河を利用したタイクーン・ウォルス間の交易がさかんだったということだと思う。であればこの運河に目が届く位置に城を置くべきではないだろうか。また、風の神殿も古くからタイクーン王家が管理していたようなので、この周辺に拠点ができるのが自然なのではないかと思える。

 ここで俺はタイクーン城に常駐している飛竜のことを思い出した。
 マップではわからないが、タイクーン城はかなり標高の高いところにあり、村や運河や風の神殿を空から見張るには都合が良かったのかもしれない。というか、そうでなければこんな山奥にでかい城を建てる意味がない。
 いずれにせよ飛竜が絶滅寸前である以上、タイクーンは近く大きな変革を強いられるところだったのだろう。風の様子が変になったせいでそれどころではなくなったわけだが。

 飛竜や飛空挺が飛び交う世界での要衝防衛を、我々の常識で計ってはいけない。
 ウボアーで有名なFF2のパラメキア帝国だって、わざわざ険しい山の上に城を建設している。軍事拠点であればそういうこともあるだろう。FF6のフィガロ城に至っては砂漠に沈む。行政の窓口はサウスフィガロの街に支所があるのであろう。……いや砂漠に沈むのは軍事拠点としても外交拠点としてもおかしいな??
 
■2022-07-30 : サステナぶる
 「SDGs」のよォ~~……最後の小文字の「s」の部分……
 あれってなんなんだ?
 SustainableなDevelopmentのためのGoalが複数あるから「s」が付いてるんだよな……?

 じゃあ、17の目標のうち特定のひとつを指すときはみんな「SDG」って言ってんのか?
 複数形を持たない日本語話者が「SDGs」の略称を受け入れたんなら、当然単数のときは日本人も「SDG」って言わないとテスト0点だよなァーッ!?
 それって納得いくかァ~~~おい?
 オレはぜーんぜん納得いかねえ……

 それならPKOだって PeaceKeeping Operations の略なんだから、平和維持活動全般を指すときは「PKOs」って言うはずなんだよな……
 でもそれってMOTHER2の「カッコイイとおもうもの」にオーズって入れちゃった人みたいになるから、誰も言ってねえんだよなああ~~ッ!
#NintendoSwitch
[カッコイイものをオーズにした人]
 つまり結論ッ!
 仮面ライダーオーズがカッコイイということは、国連で決議された事実なんだッ!
 どーだ!? オレの考えたこの意見!

 「『BRICs(Brazil, Russia, India, China)』にsが付いてるのに『GAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)』にsが付いてないので、語呂がいいか悪いかくらいのことしか考えてないと思うよ」

 知ってんだよオオォォッ!! 英語の教師か…おっおっオメーはよォォォォ!!
 
■2022-07-21 : 軽井沢卍リベンジャーズ
 俺史上9年ぶり5度目の軽井沢!!

 2008年にスタートした「軽井沢を拠点になんかする回」にひさびさの復帰を果たしました。娘氏が生まれてから参加していなかったのでゆうに9年のブランクがあります。とはいえここ数年この回そのものが停止されており、ブランクがあるのは全員お互いさまといったところでした。

 久しぶりに参加して感じたのは「パーティメンバーに日記書きを加えていないと、いつどこにいったのかわからなくなる」という事です。「戦力にならない吟遊詩人を追放したSランク冒険者パーティ、ダンジョン攻略順を忘れ崩壊」みたいなラノベはありませんか?

 今回のトピックスとしては、初めて小学生男子が参加しました。娘氏も「アイチャンもついていきたい」と言いましたが、温泉に寄ることが多い関係上、一人で女湯に入らせるわけにはいかないので諦めてもらいました。以下、行ったところをダイジェストで記録しておきます。

■信玄餅ファクトリー

餅もちの社
 まずは南下して山梨へ。ここでは桔梗屋信玄餅の生産ラインをみっちり見学できる。あのビニールの外装は手作業で結ばれていたんだね。考えてみりゃ機械化は難しそうだが、実際にビニールを結ぶラインで働く人々を見るとすごい緻密な仕事をしているなあという思いを新たにした。

 売店では『鬼滅の刃』や『ゆるキャン△』の外装の信玄餅が売っていた。もともと和柄の鬼滅は言うまでもなく、ゆるキャンのほうもテントを模したデザインでうまくハマっていた。
 ただキャラクターが全面にでかくプリントされているのがせっかくのデザイン性を損ねていた。キャラを置いたほうが多くの人にリーチするのであろう。日本人は「アニメグッズデザイン、キャラクター公式絵に頼りすぎ問題」にそろそろ真面目に取り組むべき。

■ほったらかし温泉

 石和温泉の日帰り入浴がコロナで中断されていたため、いちかばちかこちらへ。以前の秩父弾丸旅行のときフルーツ公園の駐車場で苦労した記憶が新しくやや警戒したものの、温泉及びキャンプ場の周辺には十分な駐車場があった。

 快晴であれば露天風呂からは甲府盆地から富士山までが一望できる。霧が立ち込めているので眺望はよくなかったが、我々静岡勢は「富士山の先っぽだけ裏から見たってしょんねえら」というマウンティング・アティチュードで一致していた。
ほっとけや温泉
 ここにはゆるキャン△の連中が訪れており、奇しくも聖地巡礼をする形になったわけだが、これは上記の経緯の通り完全に偶然であり別に聖地巡礼をしているわけではない。俺の行き先にあいつらが先回りしているのだ。
 しかしここまでキャンプ用具持って徒歩で登ってくるの、かなりのフィジカル強者だな……温玉あげは大変美味しゅうございました。

■光前寺

わんこ寺
 駒ケ岳のふもとにあるお寺。思ったよりデカいのでびっくりした。こういう景色を観て「わーゴーストオブツシマみたい」って思っちゃうので本当にだめ。なぜ俺は日本の古刹を洋ゲーにたとえてしまうのか。

 このお寺に祀られている霊犬「早太郎」は我が静岡県では「しっぺい太郎」と呼ばれており、ここからはるばる磐田市まで出張して磐田市民を怪異の手から救ったという伝説があるのである。
 したがって別にゆるキャン△の聖地巡礼をしているわけではなく、磐田市民の感謝の意を伝えるべく……いやこのエピソード知ったのゆるキャンだしな……負けたぜ、この犬どもめ……

■千畳敷カール

 光前寺から少し登ると駒ケ岳の登山コースに至る。途中からバスに乗りかえ、さらにロープウェイに乗り継いで、一気に標高2600mまで行くことができる。
 やたら重装備の人が多いので萎縮してしまうが、それらはここから頂上にアタックする人たちであり、ロープウェイ駅周辺の散策路を歩くだけなら上着を羽織るくらいで十分いける。

 駅は小さなホテルになっていて、こんなところにまでインフラを伸ばしてきた人類の営みに感じ入るばかりである。食堂でカレーをいただく。カレーはアウトドアであればあるほどその風味にバフがかかるという特性があるからだ。

 標高2600mの世界は深い霧に覆われシンピテキを醸し出していた。残念ながら描画半径が8チャンクくらいしかなく、ふもとの景色は見えない。まあ我々のいるワールドは解像度とFPSが無限なうえレイトレーシングも入っているので、レンダリング負荷を考えれば御の字であろう。
 遊歩道はところどころ水没しており、それを見越してか飛び石めいていくつかの敷石が敷かれている。最終的にそれは風雲たけし城の竜神池のような状態になり難易度が高かった。
千畳敷カール
 こういう景色を見ると「わーオープンワールドみたい」って思っちゃうので本当にだめ。たぶんジャンプを駆使するとある程度までは登れるけど、その先はいくら跳ねてもズルーッと戻ってくるタイプのマップの端があると思う。

 なお、ゆるキャンでは駒ケ岳には登っておらず、ふもとの温泉までが聖地となっている。バスとロープウェイで往復4000円かかるのと、あまり登山ジャンルに食い込んでしまうと別の美少女おっさんアニメ(おっさんを美少女アバターに置き換えてわちゃわちゃしている作品を雑に括ったもの)の領域を侵犯してしまうからだ。

■榛名神社

榛名神社
 思ったよりデカい神社でびっくりした。参詣道がかなり長く、石畳で整備されているとはいえ軽いハイキングとなる。道中には七福神の像が置かれている。まさかこいつら7人全員を倒さないとたどり着けないチャンピオンロード方式なのか……? この距離を歩いたのにまだ……3人目だと?
 実際、距離はともかく傾斜がけっこうあるので、下りには注意が必要だった。最後に待ち受ける毘沙門天がラスボスだと思ったらそれはフェイクで、帰り道に最初の随神門の横にあった像が本物の毘沙門天であることに気付いた。ダンジョンの入り口まで戻ってくると真のボスがいるパターンだ。こういうパターンは詰みやすいので勘弁して欲しい。

 本殿のほうでは社殿改修工事が行われており、一部の建物が幕に覆われていたが、参拝やらご祈祷やらは普通に行うことができた。「ハムスターのモロッコがすこやかでありますように」とお賽銭相当のお祈りをした。

 榛名山周辺は『頭文字D』の舞台らしく、聖地巡礼とおぼしきやたらかっこいい車をたびたび見かけた。『頭文字D』についてはまったく履修しておらずちょっともったいない気持ちである。
 とりあえず「藤原とうふ店の人はなぜこのような危険なレースに身を置いているのか?」という疑問を履修者に投げたところ「早く帰宅したかったから」という解答を得てド肝を抜かれた。
 次は「イニシャルがDなのは誰か?」ということを尋ねたかったが、たぶんそれは原作を読んで「タイトル回収~~ッ!!」っていう満足感を得るべきであろう。想像するに、終盤で「お前の本当の苗字は藤原ではない……伝説の走り屋Dの息子なのだ」みたいな展開があるんだと思う。Dの一族の謎……。

■上毛野はにわの里公園

 ここは榛名山からの帰宅ルート上にあるので、わがままを言って旅程に組み込んでもらった。この公園にはあの「平成古墳」があるからだ。
八幡塚古墳
 平成古墳こと保渡田八幡塚古墳は、あの問題作『劇場版仮面ライダージオウ Over Quartzer』でISSAが「お前たちの平成って醜くないか?」という支離滅裂な宣戦布告をキメた場所であり、ここに立っているだけで砂利道のような平成をきれいに舗装し直したくなってくるのである。
 実際に登ってみると、広い芝生公園の中に前方後円墳が存在するのはなかなか非現実的な光景で、「平成生まれだけを吸い込むタイムトンネル」の召喚すらもできてしまうのではないかという全能感があった。どんなミラクルも起き放題、ユニバースフェスティバル……

 コロナ前は、同敷地内の博物館で、埴輪作りのワークショップなども行われていたようだ。博物館内はさまざまな復元埴輪が惜しげもなく並べられていて、直接写真を撮ることもできる。最高だった。

■夜にやったゲーム

  • 『変顔マッチ』は表情筋で戦うゲームであり俺の独壇場だったがこれに勝ち負けはない。人間の尊厳があるだけである。
  • 『ギャラクシーねこのばし』はルールを理解しながら進めた。最終的に雷神がもっとも猫を伸ばして優勝した。
  • 『ペンギンパーティ』は単純ルールで運と戦略のバランスが取れた良ゲー。他人を潰そうとして自分が死ぬのはインガオホー。
  • 『ナルハヤのつるぎ』は高速でパズルを解くゲーム。思ったよりパズル要素が強く、熟練が必要とされた。
  • 『ナンテッタ』はカードの絵からセリフを生み出して、どのカードのセリフか当ててもらうゲーム。「はぁって言うゲーム」の子ども版みたいな印象をうけた。
  • 『こねこばくはつ』はエクストリーム坊主めくり。スキルカードを駆使して坊主の位置を察知し、操作し、次の奴に引かせろ。ところでなんで子猫が爆発するんです?

書き置き
 これは帰ったら居間のドアに貼ってあったメモです。今回の旅を支えてくれた一同に感謝の意を述べて、2022年版の記録を終わろうと思います。
 
■2022-07-11 : 向暑の娘氏語録
 春休みから夏休み前までの記録だそ!

  • 無事一年生を修了した娘氏、「一年生が終わるとなんか人生が終わったって感じ」と勝手に達成感をクライマックスに持っていく。
  • 「おかあさんの心の理論がせいりつしているか確認します。」といってワイフに「サリーとアン課題」の問題をぶつける娘氏。
  • そういえばスクランブルエッグはもう一人で勝手に作れるようになった。次はなんだろ、キューカンバー・スマッシュかな?
  • 娘氏「おなかがすごい痛くなったときとか死んでしまいたいと思う」
    ぼく「そうだな」
    娘氏「でも誕生日とか迎えられるから生きたほうがいいと思う」
    ぼく「そうだな」
  • ワイフの新しいおズボンを見た娘氏、「ミステリーみたいね」「ミステリめいている」と謎の講評。
  • 娘氏「ロゼットってしってる?」
    ぼく「何?」
    娘氏「ロゼットのはじまりはコカルドなんだよ?」
    ぼく「オフチョベットしたテフをマブガッドする……ってこと?」
  • なぜか俳句の心に目覚めた娘氏、季節のことを詠むようにアドバイスされ「さくらちり/はっぱもちって/もうあきだ」とスピーディな句を詠む。
  • 市立図書館をフル活用して「今日は本を読みすぎて読みすぎてもう目が文字になっちゃった」などと言うレベルで児童書を濫読している娘氏。
  • 字を雑に書きすぎて「ワンワン」が「ワメワメ」になってしまった娘氏。
  • 主人公「行くよ! ワメワメ!」
    ワメワメ「プリキュアに変身ワメ~!」
  • ワイフ「23たす7は?」
    娘氏「わかんないぃぃー! 30」
    ぼく「正解出す前にいちいちわめくのをやめろ……ワメワメなのか?」
  • 急峻な坂道を前に「こんなところで転んだらわーってなって私の人生は卒業式になってしまう」と警戒する娘氏。
  • ぼく「どんな色で塗ったの?」
    娘氏「片側は緑で、もう片側はうつくしいこんぶの森のような色。」
    ぼく「何て?」
  • パパの話し方を真似して「~だろ」って言おうとして「~でろ!」と言ってしまいツボる娘氏。
  • パパの話し方を真似して「~だぞ」って言おうとして「~だそ!」と言ってしまいツボる娘氏。
  • 娘氏「テトラポッドってなに?」
    ワイフ「えっ知ってるでしょ、海岸にある三角の……」
    娘氏「ああ、消波ブロックのことね」
    ぼく「さすがEテレで育った子だなあ」
  • Wordle派生の、国の形を問う「Worldle」に挑み、なぜかフィンランドやニューカレドニアやモンゴルを一撃で正解する娘氏。いや本当にどこで学ぶんだよニューカレドニアの形。
  • ぼく「『あ』から始まる国のなまえ!」
    娘氏「アゼルバイジャン」
    ぼく「い!」
    娘氏「イエメン」
    ぼく「う!」
    娘氏「ウズベキスタン」
    ぼく「逆になんで!?」
  • 娘氏はまだ主要国とかそういう重み付けを知らないので、アメリカもイギリスもウクライナも出てこないのである。
  • 娘氏「それ先生も同じペンもってるかも。インキの色が同じ」
    ぼく「インキ」
  • 娘氏「ドロップっていろんな意味があるよね。なめるドロップと、倒したときに出るドロップと……」
    ぼく「二番目にもうそれなんだ」
  • 近所のマンションの屋上の貯水槽を見て「ドームほおばり……」とつぶやく娘氏。星のカービィで現実をディスカバリーしたんだな。
  • 「コカコーラとアイスクリームどっちがすき?」と聞かれたのでコーラと答えたら、なんかコーラのボトルが印刷された紙片を渡された。算数の時間に使ったらしい。「明日かいしゃで『娘がお金を出して買ったんですよ』とみせびらかせばいい……」って言ってたけどどうすれば。
  • 娘氏「ケンタウロスって知ってる? 人馬一体だよ」
    ぼく「確かにそうだが……」

おまもり
 「これ会社に持っていってね」って渡されたんだけどこれ何? 裏をみたらたどたどしい字で「さみしさのなき あかるいきょうしつ」って書いて消したあとがあって怖いよう。

さいほう
 アイチャンが縫った!いっしょうけんめい縫った! 8歳児にお裁縫を教えるワイフの手腕よ……。


 算数の勉強を見ていると「計算のやり方は理解しているが計算ミスと見落としで失点する」という事態が頻出し、まるで小学生のころの俺を見ているようで困る。ケアレスミスに対して注意しろと言うのは完全に無駄であることが俺自身の力で証明されている。
 逆に国語はすいすい解けているようだが、漢字を雑に書いて失点しているのを見ると小学生のころの俺を見ているようで困る。結局俺は子どもを通して幼い頃の自分自身を見ているにすぎない。
 
■2022-07-02 : 異世界転生読書感想文
 6世紀イギリスのアーサー王の宮廷に異世界転移して現代知識チートで成り上がる小説を読みました。


 アーサー王とはあのエクスカリバーや円卓の騎士でゆうめいなキング・アーサーです。近年の研究では女の子だったり100万人いたりと織田信長の次くらいに可能性を秘めた存在なので、皆さんもご存じのことと思います。信長よりも史実性が薄いためやりたい放題されています。

 しかし先ほど「ご存じのことと思います」とは申しましたが、実際どの程度ご存じか、というのは各々が渡ってきた作品群によって大きな差があるでしょう。そもそも「これが原典!」というような作品がないので仕方のない事です。
 私のアーサー王の認識は……なんかエクスカリバーだかカリバーンだかを手に入れた王で、魔法使いのマーリンを従えていて、アヴァロンで死ぬ……くらいのものしかありません。円卓の騎士については、なんかランスロットが代表格で、最終的にこいつはアーサー王の妻グィネヴィアを寝取って大変なことになることは承知しています。あとガウェイン、パーシヴァル、聖戦士ガラハッドあたりの名前を聞いたことがあるくらいです。あなたの円卓の騎士はどこから?

 そのレベルの知識で私はこの異世界転移物語『アーサー王宮廷のヤンキー』を読み始めました。ヤンキーとはツッパリのことではなくアメリカ人のことです。つまりこれはアメリカで書かれた小説で、「小説家になろう」で連載されていたものではありません。

■第1~7章 アメリカ人、アーサー王の宮廷へ

 主人公のハンクはコネチカット州の軍需工場で働くおっさんで、轢殺トラック……ではなくバールのようなもので頭を強打されて意識を失い、アーサー王の世界へ転移します。意味もわからず円卓の騎士の一人ケイに捕縛されたハンクでしたが、場所を訪ねて「キャメロットじゃ」と返され、状況を理解していきます。
 このセリフは多分序盤のツカミのセリフだと思いますが、私本人に知識がないため「キャメロットってあの……『みんなのゴルフ』を開発した会社?」みたいな感じでピンと来ませんでした。キャメロットはアーサー王の街の名前です。

 連行中、いきなり脈絡もなく裸同然の女が出てきたので「第一話でヒロインのラッキースケベが出てこそ異世界転生!」と思いましたが、この女はただすれ違うだけのモブでした。6世紀のイギリスでは身分の低いものは裸同然で暮らしているのです。

 異世界転移するにあたってとくにチート能力などは獲得していないハンクですが、6世紀の皆既日食の日時を正確に覚えていたため、これを利用して魔法使いとして名を売り、宮廷に入り込みます。それはもう立派なチート能力なのでは?
 その後ハンクはノータイムで爆薬を作成し、これをもってマーリンとの魔法対決に勝利します。珍しいことに、いつどうやって爆薬を作ったかは特に説明されません。軍需工場で働いていたのでできるのです。それはもう立派なチート能力なのでは?

■第8~20章 アメリカ人、冒険の旅をする

 四年が経過します。ハンクはクラレンスという物分かりのよい少年を片腕として、さまざまな現代知識無双を行っていきます。なんの説明もなく石鹸や歯ブラシが開発され、本文中ではそれの広告方法について触れる形になりました。具体的な作品名は挙げられませんが「異世界転生主人公はまず石鹸を作る」みたいなイメージがあります。なのでもう石鹸を作るパートはどうでもいいのです。
 身分の低い若者をスカウトし、工場、学校、電信などの設備をひそかに次々と開発していくうちに、ハンクは将来的この王権社会を共和制にしてやろうという夢をもつようになりました。内政チートと呼ばれるジャンルですね。徹底して「どうやって開発したか」が描かれない作風なのは珍しいですが。

 そんなハンクの元にアリサンド(サンデー)という騒がしい女が現れ、ハンクはこれを伴って女の故郷にある砦の化け物を退治しに行くことになります。やはり異世界転生に大事なのは現地ヒロインで、こいつが主人公の現代知識に驚いたり現地の価値観を説明したりしてくれないといけません。おやおや……この世界には「地図」もないのか?
 ただこのヒロイン、「マーハウス卿の息子」を説明するためにマーハウス卿の武勇伝から長々と1ページ以上にわたって改行なしでしゃべりまくるので、説明役としてはいささか問題を抱えているように思います。

 途中、騎士の一団と敵対するも開発したタバコの煙をドラゴンか何かだと思われて勝手に勝利したり、魔女モーガン・ル・フェイの城に立ち寄って、地下牢で囚人裁判をしてみせたりといったイベントをこなしつつ、目的の砦にたどり着くのですが、砦はただの豚小屋で、化け物はただの農夫で、自分以外全員がドン・キホーテのメンタルで生きていることを再確認して冒険は終わります。


■第21~25章 聖なる谷での決戦

 冒険の帰りに「聖なる谷の奇跡の泉が枯れた」という話を聞いたハンクは、サンデーを伴い現場に向かいます。その道中、奴隷商人が鞭で奴隷少女をメッタうちにする場面に出くわします。
 これは間違いなく、奴隷少女を買い上げて教育しハーレム形成ルートに入るイベントであろうと思われましたが、ハンクはそれをスルーし、奴隷制度そのものへの怒りへと転化しました。

 聖なる谷ではマーリンが井戸の復興のための祈祷をしていましたが当然効果がありません。ハンクはクラレンスと連絡をとり、井戸を直すための道具とポンプと花火を送って寄こさせます。そしてマーリンが諦めるのを待って、翌日あっさりと井戸を直し、ついでにポンプを搭載し、テキトーなドイツ語の呪文を叫びつつド派手な花火を上げ、水を噴出させてマーリンを卒倒させます。
 それとは関係なく、聖なる谷に住む隠者の祈祷の動きを利用してミシンを動かしシャツを生産する体制を整えますが、これはそもそもピストンに接続できる円運動をしている隠者のほうが謎なのであまりページが割かれていませんでした。


■第26~38章 アメリカ人と王のお忍びの旅

 共和制樹立のためには国民の生活をよく知る必要があると理解したハンクは、王に「身分を隠して領地を回りたい」という要望を出します。するとアーサー王自らもそれに加わると言い出し、国のトップ2が揃ってお忍びの旅に出ることになります。
 ここでランスロットとグィネヴィアの話が差し込まれるので、ああ、たぶんこの話でもランスロットがNTRで大変なことになるんだろうなあ、と私は理解しました。

 王は生まれながらの王なので、農民のフリをしても所作でバレます。そのくせ葵の御紋の印籠などは存在しないものですから、通りすがりの騎士ともめ事を起こして敵対します。ハンクはそれをダイナマイトで爆殺し、なかったことにします。ダイナマイトは持ってるのかよ。
 貧民の暮らしを見て回る中で、王が天然痘の病人を恐れず堂々とふるまう場面があり株を上げるわけですが、ハンクには「天然痘の予防接種を受けたことがあるので感染しない」という最強バリアが張られていました。言われてみれば我々が異世界転移したとき、我々が持っている抗体の量は一種のチートと言えるでしょう。しかし今は異世界転移よりも転生のほうがメジャーなので、これについてはあまりピックアップされていないように思います。

 ハンクは身分制度で抑圧された人々の中にも、一対一で話し合えば身分制に疑問を抱いている者がいると知り、宴会を開くなどして交友を広めますが、余計な口を滑らせて乱闘となり、アーサー王と二人してどさくさで奴隷商人に捕まります。そして身分不明のガタイのいい奴隷として普通に売られてしまいます。

 奴隷商人一行はロンドンへ向かいます。道中、奴隷の家畜並みの扱いや、軽犯罪で死刑になる若い母親の苦境などを描写しつつ、ハンクは隙を見て奴隷商人の元から脱走します。電信でクラレンスと連絡をとり、あやうく脱走の罪で死罪になるところを救援されて、一命をとりとめました。


■第39~44章 アメリカ人VS騎士階級

 ハンクは以前いさかいを起こしていた騎士サグラモールとの決闘に応じます。サグラモール卿にはマーリンがなんらかのまじないをかけていますが、ハンクはこれを特に問題とせず、馬上突進しかできない相手の背後をとって投げ縄で倒します。
 そのまま流れ作業のように挑んできたラモラック卿やらガラハッド卿も同じ戦法で倒し、ランスロットまで倒してしまったところで、復帰してきたサグラモールが剣で襲い掛かります。ハンクはこれに対しコルト・ドラグーンで銃撃。軍需工場で働いていたので拳銃も作れるのです。お忍びの旅の時に持っておけよ!

 銃撃によって騎士階級の権力を破壊したハンクは一気に権力を広げます。三年が経過し、大学、電話、蓄音機、タイプライターばかりでなく、キャメロットからロンドンまで蒸気機関車が開通し、イギリスは完全に産業革命を終えていました。法律が整備され、ついでに力を持て余す騎士諸侯には甲冑野球のチームを組んで試合をさせます。アメリカ人、よくここまで野球を我慢できたな。
 そしてなぜかハンクはサンデーと結婚し一児をもうけていました。そこも過程は特に説明しないのかよ。

 しかしついに最強の敵「教会」が動き出します。ハンクの留守中にランスロットのNTR事件が起こり、円卓の騎士がバラバラになったすきに、教会はハンクに破門を宣告しました。ハンクはイギリス中の騎士を敵に回すこととなり、教会の影響下にないクラレンスなどの若者を中心として軍を組織し籠城します。
 そして攻め込んでくる教会の軍を地雷と高圧電流鉄条網で一掃し、残った兵を13門のガトリングガンで始末してビクトリーします。いくら軍需工場で働いていたからといってやっていいことと悪いことがあるぞ。
 
 ハンク自身の手記はこのビクトリーで終わります。そのあとクラレンスの書いた章があり、生き残りの騎士にハンクが刺されたこと、それ自体は致命傷ではなかったが、看護婦に化けて入り込んできたマーリンによって13世紀にわたる眠りの呪いをかけられたことが示されて、物語は終わりとなります。
 すべての文明は強引になかったことになり、我々の歴史と接続されるので、正確にいえば異世界転移ではなくタイムスリップですね。まあ中世ヨーロッパが異世界であることは間違いないので良いでしょう。



 さて、わざとらしく伏せてきましたが、この『アーサー王宮廷のヤンキー』という異世界転移モノを書いたアメリカ人というのは、『トム・ソーヤーの冒険』で有名なマーク・トゥエインであります。したがってこの物語が出版されたのは1889年(明治22年)です。このような時代に、このような巨匠によって、「中世ヨーロッパに異世界転移して現代知識チートで成り上がろう!」という作品が発表されていたことについて、驚きと尊敬の念を抱かずにいられません。

 作中で奴隷の扱いに対して非常にシビアな目を向けていたのも納得です。この作品のつい30年前に南北戦争があり、リンカンの奴隷解放宣言が出ています。作者自身が奴隷制度のあった時代を生で見てきているのです。
 作中に出てきた選挙制度が「全ての男子に選挙権を与え、その母にも選挙権を与える」というよくわからない形だったのも、書かれた時代を見ればやむを得ません。このとき我が国の選挙権はまだ「直接国税を15円以上納めた満25歳以上の男子」でした。女性参政権の実現は第二次大戦後です。十分にSFであると言えるでしょう。

 最後に余談ですが、内政チート中にハンクが発想した「彼らが必要としているのは新しい政策ニューディールだと思われた」という一文が、40年後の世界恐慌時に、ルーズベルト大統領によって政策名として採用された……という情報が『たのしく読める英米幻想文学』に書いてあり、その引用がインターネット上のあちこちに見られます。マジでござるか? 特に印象的に使われたわけでもない、セリフでもない、たった一度しか出てこない、実際のニューディール政策と具体的内容が被ってないこの単語が、なぜ歴史教科書に太字で載ることになったのか、そちらもかなりの謎なのではないかと思います。
 
■2022-06-16 : テント・サマー・ストライク
 初めてのキャンプから2年。我々は次のステップに進むことを計画していた。

 これまでのキャンプはすべてコテージ、ないしはでかいテントがすでに張ってある場所での野営であった。
 最初のキャンプでは寝る場所と食材が提供されていた。次からは調理器具および食材もこちらで用意する形にした。となれば次のステップは寝る場所の自給……つまりテントを用意し、張り、寝るという挑戦になる。
 ワイフは決断的にテントを購入した。以前買った行楽用のポップアップテントではなく、1000HPと100MPを回復する完璧なテントである。

 しかし……ここまでの装備が必要なのだろうか?
 俺が娘とサバイバル体験をしている目的は、第一に災害に備えた宿泊訓練である。さすがに住宅から避難所まであまねく建物が崩壊する大災害、ないしは帝国の侵攻による大破壊は想定していない。仮にそういう状態になったときにこのサイズのテントを取り回せるのは第114代ルシス王くらいであろう。
 したがって、でかいテントを運用するのは目的からはみ出している。だが……もはや、電気の使えるコテージで過ごすことではただの外泊と変わらず、我々の冒険心を真の意味で満たすことはできなくなっていた。百万ドルでも時は止まらない。だから行くのさ……。


 装備を整えた我々は、今まで何度か行った近場のキャンプ場へ向かった。なんと天気予報が直前に我々を裏切り、初回から雨の降りしきる中でのミッションとなる。キャンプ場の管理人からも哀れまれた。早くも心が折れそうになるが、雨が降るからこそ屋根を作る意義があるというもの。風がふきすさぶよりはだいぶマシだ。

 ワイフ総指揮のもと、まずはタープとかいう幕を張っていく。柱となる棒が2本と、何本かのロープが骨組みとして用意されている。……ここは3次元宇宙ではなかったか? 3次元宇宙で棒2本……立体を維持するには軸が足りなさすぎるのでは? 話が違う。
 しかしワイフの指示通り地面にペグを打ち込み、棒の先端につけたロープを張ると、なんと2本の柱はたくましくそびえ立ち、多少の風雨に動ずることなしと見えたり。今回は娘氏に棒を立ててもらいながらロープを張ったけれど、工夫すれば一人でこの立体を成立させることも不可能ではあるまい。大事なのはロープのテンションである。今日の紐はね……テンションしてるぜ!

 タープを張れば雨をよけるスペースができる。同様の仕組みでテントも無事張ることができた。最終的な専有面積がよくわからなかったため位置関係がぐだぐだであるが、たいした問題ではない。あとはコテージの時と同様に、クルマからシートと毛布と寝袋を搬入すれば、今回のミッションである住環境の設営は完了だ。
テント
Our New Gear...
 こうしてただ雨の降りしきるばかりだった荒野に、一時間半ほどかけて人の住む場所が生み出された。なんたる奇跡。まるでブック・オブ・ジェネシスに記された神の技である。

 はじめに神はキャンプ地を創造された。
 キャンプ地は形なく、むなしく、雨がおもてを覆っていた。
 神は「柱あれ」と言われた。すると柱があった。
 神はその柱を見て、良しととされた。
 神はまた言われた、「柱の間に幕があって、屋内と屋外を分けよ」。
 そのようになった。神は天幕を張って、雨と外とを分けられた。
 神はまた言われた、「炭と火は一つ所に集まり、かわいた地が現れよ」。
 そのようになった。神は炭火で肉と野菜を焼き、優勝された。

テント
Our New Gear...
 なにげに今回は飯盒炊飯に挑戦している。ワイフ曰く、ナウいキャンパーたちは英語でメスティンと呼ぶらしい。飯盒の「ごう」の字が見慣れないからこういうことになる。
 火にかけると炊飯時間が難しいところだが、これは旅館などで見る固形燃料を使用し、火が消えるまで放置すれば完全に米が炊き上がるようになっているので、何も考えずともチョーウマイ米が食える。もうこれ弁当箱の代わりに職場に持って行ったらだめかな?(火災報知器が鳴るからだめだヨ!)


 翌日は快晴になったため、テント等が乾くのを待って撤収した。撤収のとき雨だったら後日の乾かしミッションが非常に困難なものになったと思うので、ギリギリ晴れてよかった。
 それはそうと関節と筋肉が痛い。テントは一家が寝るのに十分な床面積があったが、それでも無理な姿勢になるのだろう。やはりHPとMPが全快しないのには理由があるのだなあということがわかった。ギルを惜しんでコテージの代わりにテント5つ買って満足してはいけないな。