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◆不定期日記ログ◆

LOG 2018-04

■2018-04-01 : インバネスコートと日英関係
 インバネスコートといえば何を思い浮かべるだろうか。やはりシャーロック・ホームズの印象が強いだろうか。和装と合わせて明治の書生さんをイメージする人もいるかもしれない。いずれにせよ現代ではコスプレ感漂うコートである。
 さてこのインバネスコート、主にスコットランドで使われていた外套なのだが、もともとスコットランドではただのマントと呼ばれていた。このような名前になった背景には、実は明治初期のイギリスと日本の意外な繋がりが隠されている。


 当時の日本は殖産工業のスローガンのもと盛んに列強の文化や技術を取り入れていた。特に土木・治水の分野においてはそれが顕著で、海外の技術者を呼んでは「こんなん川やない!滝や!」とキレられたとか、そういう話に事欠かない。(諸説あり。農水省資料参照。)

 そして明治政府は、東京の上下水道の整備のため、イギリスからウィリアム・K・バートンという技術者を招聘した。バートンはスコットランドの出身で、ハイランド地方にあるネス湖およびネス川の流域で水道技師をしていた手腕を買われたのである。このバートンが愛用していたのがまさにこのインバネスコートであった。

 余談になるが、バートンとシャーロック・ホームズの生みの親であるコナン・ドイルは幼少期からの知り合いであり、その親交はバートンが訪日してからも続いたらしい。ホームズがインバネスコートを着ているのはこの友人のイメージがあったからという説もある。

 バートンは水道工事計画の一環で、水源である千葉県の印旛沼の開拓にあたった。このとき比較調査のため、故郷のネス湖と印旛沼を何度か往復することとなった。当時は飛行機がないのでたいへんな時間がかかったと思われる。
 調査に同行した弟子たちはいつしか、この往復のことをインバ・ネスと呼ぶようになり、これがインバネスコート(Inbhir-Nis Cort)の語源となったのである。まあ明治期の東京っ子はただ「印旛」とだけ呼んでいたようだが。


 以上がインバネスコートの語源にまつわる日本とイギリスの驚くべき関係を俺がエイプリルフール向けに捏造したデマである。しかし今年については8割がた事実を述べており、強引なこじつけのためにウソを盛らなければもう1割くらい真実をかさ増しすることができた。こういうデマを破る場合、たとえば「バートンが印旛沼に行った事実はない」というのを検証するのは、悪魔の証明めいて大変な手間がかかる。しかしひとまず結論がでたらめであればそれはただのでたらめに過ぎない。インターネットに生きる我々はそれを肝に命じて生きていきましょう。
 
■2018-04-11 : 人の情弱を笑うな
 クルマのメンテナンスはほぼ全て、買ったディーラーに任せている。
 とはいえバッテリー交換は近くのガソリンスタンドでやったし、ワイパーの交換は個人でやった。ディーラーに任せるより割安だからだ。
 だから、何もかもディーラーまかせにしていると、そのうち「タイヤ交換ごときでディーラーを使うのは情弱の極みwwwネットで買って持ち込み修理がコスパ最強じゃんwww」みたいな煽られかたをするのは避けられない。情報弱者はカネを余計に取られるというのが経済の宿命だからだ。

 だがほっといてくれと言いたい。
 情報弱者はカネを余計に取られるが、それは何も無駄ではないし愚かでもない。俺はそもそも「情報を集めて精査し、自己決定する」という決断コストを省略するために! あえて! 情弱をやっているのだ!
 ワイパーはともかくタイヤは安全性に直結する。それを自力で選び、業者を決定するのにどれだけの決断力を消費することか。そう、決断力は固定パラメータではなく消費するポイントなのである。ここを勘違いしてはいけない。

 男の仕事の8割は決断だとおやっさんも言っていた。そんな大切な、限られた決断コストを、たいして興味もない、そのくせ絶対必要なものに持っていかれるのは馬鹿げている。アップルコンピューターの黒シャツ男を見ろ。常に黒シャツ&ジーンズでいることで服装の決断コストを無くし、死ぬまでに世界的プロダクトをいくつも作った。
 決断力を無駄に消費したおまえは、他の大切な決断を先延ばしにして、Youtubeなどをザッピングして無為に日々を過ごし……そして何も生み出さずに一生を終える……The end of life……。決断力をカネで節約できるならばするべきなのだ。コスパとか言い出すやつはたいていこの決断コストを考慮していない。


 そして最近、この「たいして興味もない、そのくせ絶対必要なもの」の中に「通信料」が入ってきた。
 昔の俺は違った。あらゆる手を使い一月のスマッホ代金を2000円台に抑えることに夢中だった。ガラケー時代よりも安く仕上がった明細を見て、笑みのこぼれる口元を「うそっ……私の通信料、安すぎ……!?」と片手で隠し愉悦に浸っていた。

 だがいつからかその情熱は冷めきってしまった。簡単に言うと失望したのだ。スマッホの月額は高くなる一方で、MVNOとかいうよくわからん連中が春先のタケノコのように生え、格安SIMカードとかいうよくわからんものをバラまいた。インターネットは「徹底比較!」「今いちばんお得なのはこれだ!」と情報の渦となり、その洪水で俺の興味はきれいさっぱり押し流されたのだ。

 確かにこいつらのうちどれかを使えば、今よりもいくらか通信料は安くなるのだろう。だが仮にいま意思決定したとして、1年後は? 5年後は? その都度「いちばんお得なもの」の情報を収集しつづけるのか? たいして興味もないものに?
 だれか信頼できる人の判断に乗るのもいいだろう。しかしそのおすすめが、自分に十分に適用されるかを判断できるのは自分しかいない。
 そうして決断力を摩耗させたおまえは、他の大切な決断を先延ばしにして、ツイッタアーなどをして無為に日々を過ごし……決断力1500の決断民族サイヤ人に「決断力たったの5か……ゴミめ……」と言われ恐慌状態に陥り発砲し……そして……死ぬ。決断力1500ともなると決断的カラテで銃弾を跳ね返すことくらい造作もないのだ。


 だから他人の情弱ぶりを笑ってはいけない。情報弱者から多くカネを巻き上げるシステムは一見邪悪だが、これを完全に排除すると「民事で弁護士頼むやつは情弱www本人訴訟がコスパ最強www」とか煽られて六法全書を買うはめになる。
 
 そのうち、全知全能のAI様が我々の決断コストを肩代わりしてくれる日が来るだろう。エストニアでは無敵のマイナンバー制度によって税理士・会計士の仕事が虫の息だという。これが進めば情報弱者からカネを得るシステムなど容易く排除されるに違いない。なので俺もお前も情強になる必要はない。胸を張って生きてゆけばよい。
 
■2018-04-21 : クラーク博士と小野妹子
 歴史に詳しくない人でも、クラーク博士の名前は知っているだろう。
 札幌農学校で教鞭をとり、ボーイズにアンビシャスするよう求めた人である。その功績は疑いようもない。
 しかし……明治時代に日本人を導いたお雇い外国人は他にも大勢いる。きっとクラーク博士と同等の貢献をした人もたくさんいたはずだ。でもほとんど教科書には載っていない。載っていても覚えていない。辛うじて覚えていてもフェノロサなのかフェロノサなのかわからない。

 クラーク博士のもつこの圧倒的知名度は、「去り際にカッコイイことを言った」という一点で生まれたものではないだろうか。当然それを記憶したボーイズたちが立派に出世したという要素も必要ではあるが、名台詞には一気にキャラを立たせる力があるものだ。


 さて、同じように学校で学んだ日本史の記憶が流れ去っていっても、教科書に乗っていた小野妹子の名前を忘れる者はいないだろう。
 これも不思議な話で、教科書に載っている事実だけ見ると小野妹子は「聖徳太子の書いたヤベェ手紙を持って中国の激ヤバ暗君に凸したブッこみ鉄砲玉」であり、それなら聖徳太子(厩戸皇子)のほうだけ教科書に載せとけばよくね? みたいな感覚でいる。いやまあ命がけの偉業であることは疑わないけど、中大兄とか中臣鎌足とかと同じレベルで扱っていいのかどうか、これがわからない。

 そんな小野妹子が他の歴史人物に対して頭一つ抜き出ているのが「名前が可愛い」という点であり、小学6年生に対する引っ掛かりのよさゆえに、今でも彼は教科書に載り続けているのではないだろうか。そんなわけあるか。やっぱほんとは美少女だったからに決まってる。美少女だったなら仕方ない。
 
■2018-04-23 : ブッダは箸を使わない
 葬式で、故人の枕元に山盛りの飯があり、それに故人の箸がぶっ刺さっているのを見て、俺は素直に「縁起がわりいな」と思った。
 いやいや葬式なので縁起が悪くていいんだよ! と思いなおしたが本当にそれでいいのか。斎場では縁起にマイナス1がかかるのか。たとえ葬儀でも縁起は良いに越したことはないのではないか。あらゆる困難が科学で解決するこの平成の終わり、俺は縁起という概念そのものに対しての疑問を呈していた。


 食事のときに茶碗の飯に箸を立てるのがマナー違反なのは、この葬式のスタイルを想起させて縁起が悪いからとされている。
 じゃあなんで葬式で箸を立てるのかというと、これは「あの世とこの世の架け橋」を示しているのだそうだ。ハシだけに。……ウソくせえ!!
 いやいや違う、これは「神事のときに場を清める榊」を示しているのである。……じゃあ榊を立てろ!!

 実はこれは、故人に飯をお供えするにあたって箸が必要だけど、なにしろ葬儀に至るまでいろんな人が枕元をバタバタするのでそのたびに箸がコロコロ転がってしまい、それをうっとおしく思った人が箸をぶっ刺したのが始まりなのではないか。
 そのときそいつが、あたかも宗教的な裏付けがあるかのような理屈をこねずに「このほうが合理的だから」で通していれば、我々は食事中に箸をぶっ刺すことに忌避感を持っていなかったかもしれない。なにしろブッダは箸を使わないのだから、葬式のときの箸のスタイルに注文を付けるはずがないのだ。


 「箸渡し」にも似たようなものを感じる。箸渡しがマナー違反とされるのは「箸と箸で食べ物を渡すのは、火葬の後で骨を拾う動作に似ているので縁起が悪い」という理由だが、これは火葬の骨拾いに箸を使う仏教サイドに問題があるのではないか。葬式より食事のほうが圧倒的に機会が多いのだから、葬式のほうが配慮するのが本来ではないのか。何度も言うがブッダは箸を使わない。
 その上で、それはそれとして箸渡しは気持ち悪いので素直に「てめえの唾液の付いた箸で食べ物をこっちに寄越すな」と言うべきなのだ。誰が言い出したか知らないが、こんな単純なことに仏教勢力の後ろ盾を使ったりしているから信長がキレて焼き討ちとかをすることになる。たぶんブッダも「目の前の食卓の問題くらい自分で何とかしてくれ」って言うと思う。ブッダのことよく知らないけど。
 
■2018-04-29 : いろんな娘氏
  • 娘氏は無事入園式を済ませ、三歳児クラスから年少さんクラスへクラスチェンジした。入園式では誰よりも大きな声でお返事ができて偉かった。
  • 幼稚園のお便りの「4月生まれのお友達」にさっそく「おしゃべりが大好きなアイリチャン」と書かれていて笑った。三歳児クラスでどれだけ喋っていたかが伝わってくる。
  • 入園式の翌週、悲しい顔をして「アイチャン、きょうようちえんで落ち込んだ。」というので理由を尋ねたら「ママーッっていって、さびしかったの。でもたのしかった。」とのこと。年少さんから入園した子が泣いてるのに釣られてるんだな。
  • 【悲報】娘氏、今期もつくしが怖い【だっこ】
  • アナ雪を観ていて、ハンス王子が暗躍するパートになると「もうこれやめよ?」とリタイアする娘氏。
  • 一方的にしゃべったあと、一方的に「『あぁ~~はいはいはい』って言って?」とこちらのリアクションを指定する娘氏。しかも激似。
  • ついに女の子の父親の必修トロフィー「パパチャンとけっこんする」の実績を解除。理由を聞くと「ドレスが着たいから」とのこと。スタジオアリスにでも行け。
  • 「おかーたんだれと結婚したい?」「えっパパチャンと結婚してる……」「じゃあアイチャンはだれと結婚したらいいの……?」「知らんがな……」
  • どうぶつの森で遊んでると横から娘氏が「コーネクトしたい」とうるさい。「コーネクト……?」「おきがえ」「どうぶつのコーディネートか!」「コーディネクトしたい」結局正しく覚えられていない。
  • 「てばさきさんもコーディネクトしたい」「なぜその名を!」
  • 娘氏は『HUGっと!プリキュア』の3人組のこと「ののはな(なぜかフルネーム)」「さやーちゃん(間違っとる)」「ほまれ(突然の呼び捨て)」と呼ぶので面白い。
  • ジャンクション「HUGっとプリキュア! このあとすぐ!」娘氏「まちきれないね」
  • 寝かしつけ時の娘氏「ねえパパチャン……はぐっとプリキュアのチョコは、ミルクといちごのあじがあるんだよ。たべるとおいしくって、ジューシー!ってなるんだよ。じゃあおやすみー」ぼく「おう」
  • 娘氏は髪の毛をとかすとき「ティモテー♪ティモテー♪」っていうし、髪の毛をかきあげるとき「ビダルサスーン」っていうので昭和度がすごい。
  • ぼく「アッ!またアイチャンは悪さをしたのか!」娘氏「(厳かな声で)わたしはワルサではない……」ぼく「誰だよ」
  • そういえば最近一人称が「アイチャン」でなく「わたし」になることが多い。
  • ワイフ「ついでにアイス買ってくる」娘氏「やったぁー! アイスターイム!」ぼく「アイスターイム!?」娘氏「アイスターイム! イエーイ! ヤベーイ!」ぼく「ヤベーイ!?」
  • 娘氏は景色の良いところに行くと「けしきがいっぱーい!」と言うので景色は可算名詞。
  • 「パパチャンはウチューシンに乗ったことあるー?」「?」「ウチューシンは立って乗るんだよ。」「??」「ウチューシンに乗って、おかーたんがまいごにならないように、たつけるの!」「???」「しゅっぱつしんこーう!!」
  • 春休みで長いことお休みだったピアノ教室に行くのが楽しみすぎて、幼稚園から「イエーイ!!」といって車に飛び乗る娘氏。これには幼稚園の先生もニッコリ。
  • 鉱物の図鑑を引っ張り出してきて「きらきらの宝物みせてあげる!」「これは、ルビィ! ラブライブでやってたのといっしょ!」と大紹介する娘氏。
  • いちご狩りに向かう車内で退屈した娘氏は、小声で「みんなー、げんきー? はーい。おにいさんもおねーさんもげんきー。今日はいちご狩りにいくのよー。みんないちごの歌知ってる? 一緒に歌ってね~~」と、ひとりおかあさんといっしょを繰り広げるのであった。
  • 【悲報】娘氏、もはや森全般が怖い【だっこ】
  • なぜかWindowsの電卓アプリにハマって、テンキーを指さしては「数字おしたい」と言う。仕方ないので(邪魔なので)数字押しマシーンこと電卓を与えたら嬉々として押していた。だがやはりWindowsのがいいらしい。
  • 「けっこうなひとはいませんか~~?」「?」「アッハイって言ってパパチャン」「アッハイ」「けっこうですけれども、けっこうな人はカニがもらえるんですよ。」「??」「パパチャンはけっこうなのでカニをあげます。」カニの玩具を貰った。
  • 豪雨のあと荒まく濁流を目の当たりにした娘氏「オレンジいろの川だ」
  • 「おかーたん! まちがいさがしでーしゅ!」「右の人の髪の毛が吹っ飛んでる―――!!」


 娘氏は本日4歳となった。お誕生日のプレゼントはリカちゃんの人形と自転車。前日に「明日起きたらもう4歳だよ。3歳が終わるのさみしい?」と聞いたら「さみしくない」と言っていた。そりゃそうだ。だが4歳児ともなれば我々の要求する生活レベルも上がってくるぞ。頼んだぞ娘氏。
 
■2018-04-30 : 俺はバンギラスで行く
 4歳児をワイフに任せ、『レディ・プレイヤー1』を観てきた。
 ぶっちゃけこの邦題、というかカタカナ表記はだいぶイケてないと思う。久々の「邦題つけろ」案件ではなかろうか。
 映画のオープニングでは、「オアシス」というネットゲームの説明のあと「READY PLAYER ONE」って出るので、ああ、これはゲーム開始前の決まり文句だなと実感できるが、カタカナで書かれるとぜんぜん伝わってこない。
 とはいえそもそも原作小説が『ゲーム・ウォーズ』という2018年にはちょっとつらいタイトルになっているのでこのへんに深入りするのはやめよう。

 とにかく噂に聞いた通り、版権キャラがたびたび映りこんでくるので画面の情報量が半端ない。字幕で見たかったがこれは吹替で正解だったかもしれない。ただ「2D字幕」と「3D吹替」の二択(最近増えてんの?)となるので望まぬ3Dメガネをかけるはめになった。まあ上映時間の関係で選択肢はなかったんだが。

 版権キャラはいわゆるアバターなので、『シュガーラッシュ』みたいにキャラクターとして出てくるわけじゃあない。しかも大半が一瞬しか出てこない。
 それでも、物語から切り離されてもなお残る版権のパワーっていうのは確かにあって、カーチェイスあるあるの「交差点につっこんできたタンクローリーの下を車体を倒して抜けるバイク」みたいなシーンも、そのバイクがAKIRAの金田(さんを付けろよ)のバイクっていうだけでなんか特別に見えてしまう。
 そして、版権要素の登場はキャラクターやマシンがメインだと思っていたので、「第二の鍵」の舞台に突入したときにはめちゃくちゃ笑った。アレの存在を知らずに映画館に行けたことは、この大ネタバレ時代にとっては本当に幸運だったと思う。



 ここから先はストーリーに関する気になった点を記していく流れになるので、ネタバレを避けたい人はこのセクションを読み飛ばして欲しい。



 まず悪の企業として出てくるアイ・オー・アイが、いったいどれほど悪いのか、そこんとこをキッチリ描いてほしかったなあと思う。いきなり主人公の自宅を爆破するヤベー奴なのはわかるんだけど、その前に、一般ユーザーレベルでどのくらいヘイトを買ってるのかが知りたかった。このへんの描写が物足りなかったので、最終決戦で続々と人が集まるシーンがなんかギャグっぽく見えちゃったんだよね。
 でもアイ・オー・アイ社は排出率が不明瞭な青天井ガチャでヒロインの父親を課金沼に引きずり込んで破産させて地下帝国送りにしてるんだよね? ヒロインの坂本真綾がそんなこと言ってたよね? そういう話がもっと欲しかった。
 なので2018年に生きる俺としては、オアシス内に誤タップを誘うオーバーレイ広告を出しまくってるとか、社畜を大量動員して検索順位だけは高い虚無攻略サイトを運営してるとか、そういう描写を勝手に補完して観ていた。くそっアイ・オー・アイ絶対許さねえ!!
 それにしてもアイ・オー・アイ社、地下帝国に落とした債務者を使って地道に人海戦術で鍵の発掘作業をしていて悲しかった。オープニングでMinecraftとか出てくるくらいなのに、なんかMODとか作ってガーッとできないのかよ……

 あと主人公とヒロインが直接会ってからの距離の縮まり方が早すぎる! と思ったけど、これはもうネットで知り合って友達になるのが当たり前の時代の距離感なのかもしれない。でも本名で呼ぶかHNで呼ぶか迷うシーンはもう要らなくない? 俺なんて高校時代の友人とリアルで会うときすらHN呼びだぞ。……よく考えたらこれは俺がおかしいな……?
 ていうかみんな近所に住んでるのかよ! アジア人の人はアジアに住んでてよ! リアルの友人関係って素晴らしいよね、っていうところに持って行きたいのはわかるけどあっさり集結させないで!

 最後に、この物語の結果「オアシス」がどう変わったのかにまったく触れられなかったのも残念。ここに触れてくれなかったせいで、ラストがリアル重視に寄りすぎた印象がある。クソ企業が滅びた結果クソ広告が激減してちょっと明るくなったロビーとか見てみたかった。……と思ったがクソオーバーレイ広告については完全に俺の脳内でのみ行われていた悪行だった。ちくしょう絶対に許さねえ!!



 内容に関しては以上です。
 さしあたって「親指を立てながら溶鉱炉に沈んでいくシーンは涙なしには見られなかった」という慣用句を終わりの言葉に代えさせていただきます。



 さて、そろそろ時間だ。
 ストーリー中で問題になっていた通り、VR(仮想現実)は人と社会とのつながりを薄くしてしまう可能性がある。しかし、今俺が端末で操作しているAR(拡張現実)は、逆に人を外に連れ出すことができる。
 俺は映画館を出て、まっすぐに最寄りのポケモンジムに向かった。

EXレイドパス
果たし状

 そこには先週届いた挑戦状の通り、ミュウツーが君臨していた。
 俺のオアシスはここがクライマックスだぜ!

ミュウツーレイド
俺はバンギラスで行く!!

 最強のポケモンといえど、訓練されたEXレイド挑戦者が20人そろえば撃破はたやすいのだ! やはり絆の力は最強だな! 他の奴どこにいるのか知らんけど!

ミュウツーゲット
勝ったぞ―――!!

 ありがとうスピルバーグ、最高の映画体験だったよ!