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◆不定期日記ログ◆

■2021-10-05 : 耳穴を解放せよ
 耳クソのゆるい生涯を送って来ました。
 自分には、普通の人間の耳かきというものが、見当つかないのです。
 風呂上がりに綿棒を突っ込んで綿を黄色くする、それが耳掃除だとばかり思っていました。

 そんな俺が目の敵にしているのがイヤホンで、なんと最近は家電量販店に売ってるイヤホンのほぼ全てがカナル型なのです。インナーイヤー型はもうほとんどありません。

 ではみなさんは、カナル型とインナーイヤー型のどちらが耳栓型のイヤホンだと思いますか? 正解はカナル型です。ふざけるんじゃあないよ。どう考えてもインナーイヤーのほうが奥に突っ込みそうな語感でしょ。Apple社はどっちもインナーイヤーって言ってるし別の名前を与えてやるべきだった。
 そもそも「ear canal(外耳道)」の出口を塞ぐ形のイヤホンを「カナル型」って名付けるのもおかしいが、その結果かつてのイヤホンが「inner-ear(内耳)」になるのはどうかしてる。お前のインナーイヤー型イヤホンを鼓膜の奥まで押し込んでやろうか?


 話がずれました。耳クソの話をしていたんでした。
 俺のような耳クソのゆるい人種がカナル型イヤホンを使うと、まず装着した瞬間にニチャァ…という最悪の5.1chサラウンドとともにイヤーピースが耳穴内に密着します。耳クソによって完全に密閉された外耳道は音漏れには強いかもしれませんが、何か食えば咀嚼音が脳内に反響し、歩けばコードの振動が直接脳を揺らして音楽どころではありません。イヤーピースの汚れも不快感を煽ります。
 これはおそらく耳クソの乾湿に関係なく、カナル型を使っていれば避けられない問題でありましょう。しかし自分には乾いた耳穴というものが、見当つかないのです。それゆえ耳クソがゆるいことで問題がどの程度深刻になっているのかは判断できません。


 そこに彗星のように現れたのがambieのイヤーカフ型イヤホンというプロダクトです。
AM-TW01
ambie soundearcuffs AM-TW01
 これは耳たぶを挟み込むようにして装着するので、耳穴に一切の干渉をしません。実は他にも耳穴に干渉しないものとして骨伝導型ってやつがあるのですが、多くがヘッドホン型であることと、名前が怖すぎることからそちらは試したことがありません。
 なのでイヤーカフ型イヤホンの存在を知った時に「これは耳クソゆるい勢への福音だ」と直感しました。このたび完全ワイヤレスになるというニュースをワイフが発見し、誕生日プレゼントとして即注文、いろいろあって工場出荷が遅れ、ようやく手元に届いたという次第です。
 さらに言うと、左右を繋ぐケーブルのない完全ワイヤレスイヤホンも使ったことがないので、これが初めて味わった俺の完全ワイヤレス的イヤーカフ型イヤホン初体験ってわけよ!

 そういうわけなので、イヤーカフ型、完全ワイヤレス型の利点が入り混じった感想になりますがいろいろ書いていきます。


 耳穴がフリーということはさまざまなメリットをもたらします。要は耳穴の横に超小型スピーカーが置かれているというだけのことなので、部屋の中にBGMをかけているのと変わらない感覚で音楽等を聴くことができます。
 そしてその環境のまま外に移動できる。ここが新感覚なところです。外に……BGMがかかっている……? つまり出勤時に『皇帝出陣[Spotify]』を流せば「先帝の無念を晴らす!」という勢いで出社できるということです。俺の職場はルドン高原か?


 耳穴がふさがれていないため、当然、交通量の多い道路などに出れば音楽はほぼ聴こえなくなります。でもそれでいいんじゃないでしょうか。轢かれたら終わり。No Life, No Musicでしょ?
 周囲の騒がしさに合わせてそのつど音量を調整することになるのは煩雑ですが、周囲の騒がしさに対してまあまあ聴こえるくらいに音量を調節していれば、まず音漏れすることはありません。電車の走行音に負けずにベースラインまで聴きこもうとすればめちゃめちゃ音漏れすると思います。そういう状況で聴覚を音楽に集中させたい場合はノイズキャンセリングのカナル型を使ってください。
 周囲のSEを生かしたまま、自分にしか聴こえないBGMを作り出す装置だと思えば、その利用シーンもおのずと見えてくるでしょう。

 今さらっと申し上げましたが、「自分にしか聴こえないBGMが流れている」というのは異常な事態です。
 周囲の会話が聴こえているからといって、ランダム再生で出てきた曲に対して店内有線みたいな感覚で「これ何の曲だっけ!?」と周囲に意見を求めても狂人だと思われるだけです。また、BGMが「ウルトラソウッ!」って言ってきたから「ハァイ!」って返しただけなのに狂人扱いされる危険性もあります。
 あと、音量を大きめに調節するときに「本当に今大きくなったこの音は耳元から出ているか? 実はスマホンから出ていて周囲に丸聞こえなのでは?」という確証がまったく持てません。bluetoothオーディオのアイコンは出ているから大丈夫だと理屈ではわかっているのですが、毎回ビビります。
 自分の脳内だけで流れているBGMが他人に丸聞こえになっている!? そんな心配を毎日していたら統合が失調してしまうでしょう。自分しか聴こえないBGMを取り扱うというのはそれほど恐ろしいことなのです。

 装着感は意外としっかりしています。走っている最中にこいつが耳からブルンッって外れて排水溝へ吸い込まれていく想像をして背筋が凍ったりしていますが、実際は引っ張っても全然取れないくらいスッポリ収まるので心配は無用です。はめるのにもとるのにもコツがいる。
 その堅牢のわりに、耳穴フリーなため長時間装着しても耳が疲れません。嘘です。多少は痛くなります。ただカナル型よりはるかに装着感が軽いのは確かです。ときどき接触する部分をずらしたりすれば全然いけます。
 さらにこのサイズでマイクまで内蔵されているので、このままハンズフリー通話が可能です。ためしにワイフに電話してもらったらワイフの声が直接脳内に来てビビりました。もしもしミンフィリアよ。


 こういった性質上、このイヤホンにめちゃめちゃ向いている用途が浮かび上がってきます。あなたにもあるのではないでしょうか? 散歩しながらポケストップが回せる範囲に入ったことを示す「ミ゛ン!」という音を聞き逃したくない……。家事をしながら無人島に風船が流れ着いたときの風の音に反応したい……。電車内で本を読みつつソシャゲの周回が1周終わったBGMが流れたら「リトライ」ボタンを押したい……。そんな用途が! これならゲームに聴力を占有されることなく、対応できてしまうのです!
 完全ワイヤレスであるがゆえに姿勢が自由なのも素晴らしい。あらゆる「ながら作業」に強力なバフをかけるプロダクトと言えるでしょう。

 Bluetoothイヤホンにつきものの遅延問題も、注意深く観ればテレビの人の口の動きと音が微妙にずれている気がしなくもない……くらいのもので、ゲームしていても気にならないのでよかったです。Bluetoothの進化はスゴイ。
 とにかく耳クソゆるい勢はこの快適さを体感すべきだと思います。政府は耳クソゆるい勢への差別を撤廃すべくこのイヤホンの購入に補助金を出してください。現場からは以上です。