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◆不定期日記ログ◆

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■2018-11-03 : 超10ギガ
 1年前に「ギガが減る」という言葉が紹介されたときには嘲笑していたが、どうやらこの「ギガ」、通信量を示す使い勝手のいい言葉として俺の中で定着しつつある。

 「動画を見すぎてギガが減る」「Wi-Fiがなくてギガが減る」、逆に「コンビニでギガ増やせるよ!」──最近、SNSなどで見かける不思議ワード「ギガが減る」。勘のいい人は気付くかもしれないが、これはスマートフォンなどで契約しているデータ通信量の残りが減っていることを表す若者言葉だ。

若者はみんな使っている? 謎のワード「ギガが減る」とは - ITmedia NEWS
 世間一般でも「ギガ放題プラン」とか「ギガモンスター」とかの料金プラン名によって便利に使われている感がある。ギガモンスターってなんだよソフトバンク……ギガゾンビか何かか? ギガゾンビのひとはなんで七万年前の時代に精霊王として君臨しておきながら「ギガゾンビ」なんていうドすげぇ名前を名乗ってしまったんだ? ブードゥー教もなければSI単位系もないのに。

 話が逸れた。ソフトバンクの料金プランにはすでに「ウルトラギガモンスター」が登場しており、もはやギガは接頭辞としての役割を忘れられ、頭にウルトラまでつけられてしまう時代になったことを示している。


 でも理にかなってはいると思う。日常的にバハムート改やハードディスクに触れてきたオタクと違って、一般人にとってはギガに至る単位はほぼ通信量しかない。それならカロリーみたいに単位のほうを一般名詞化すべき、とは思うが、バイトは金を得る手段なので仕方ない。ギガのほうが便利に使われる道理である。

 ところで、我々はバハムートさんにSI接頭辞がメガ・ギガ・テラと大きくなっていくことを教わった。メガ(M)は百万倍、ギガ(G)は十億倍、テラ(T)は一兆倍を示す。
 しかし英語で習った百万・十億・一兆は Million, Billion, Trillion であった。MとTはわかるが、なぜ Billion は "Gillion" にならなかったのか。空気を読んで欲しい。みんなジリオンだったらなーって思ってるぞ。
 
■2018-09-27 : 逆襲のインファント・フォーミュラ
 夏以降「液体ミルク」という不思議な言葉がニュースにのぼるようになった。これは粉末でない乳児用の調整乳を指す言葉だが、説明するまでもなくミルクは液体である。これは「魚類マグロ」と言っているようなもので何か無駄な迫力を感じる。

 だがここでうろたえてはいけない。我々は「肉眼」という言葉を使う。眼は広義の肉であり魚類マグロと大差ない。だがカメラや望遠鏡などの登場で、我々の眼は「肉眼」となった。こういった言葉をレトロニムという。


 「液体ミルク」も粉ミルクの存在により生まれたレトロニムなのだろうか? 俺は少し違うと思っている。携帯電話の普及で固定電話というレトロニムが生まれたが、液体ミルクはレトロではない。新たに登場した概念のほうである。

 そもそも我々が、乳児用調製粉乳のことを「粉ミルク」と称したのが大きな過ちだったのだ。
 粉末状のミルクには他にも脱脂粉乳やスキムミルクがある。彼らの存在を蔑ろにして、乳児用の粉乳のみに「粉ミルク」という呼称を与えたその軽率さと、海外に液状の乳児用ミルクがあり、その黒船がいつ我が国に来るかもわからないのに泰平の惰眠を貪っていた失策の代償として、我々は「液体ミルク」という謎の単語を使わなければならなくなったのだ。これは贖罪の言葉なのだ。


 しかし……贖罪というのなら、まず脱脂粉乳たちに納得のいく説明をするのが先だろう。まがりなりにも理由をつけ、筋を通さなければならない。

 かくなる上は、開き直って「粉ミルクの『コナ』はもはやその意味を失っていた」ということにするしかない。
 ほかに粉乳と呼ばれるものがあり、粉末とも限らないものを「粉ミルク」と称してしまったのだから、それ以外に解釈の道はあるまい。粉乳のうち、乳児用に調整されたものを我々は「KONAミルク」と呼んだのだ。
 これなら我々は脱脂粉乳やスキムミルクを蔑ろにしたわけではなく、かつ、海外に液状のものがあることも承知していたということにできる。コナミのキャラグッズを扱うお店が「こなみるく」という名前だったことを思い出したがそんなことはどうでもいい。

 欠点としては、我々が漢字の意味も知らない凡愚ということになってしまう点が挙げられるが、まあ言語にはそういう側面がありがちだ。「御」の字のことを忘れ「おみ足」とか言ってしまうのだ。だから仕方のないことなのだ。

 この主張に従えば、「液体ミルク」は「液体粉ミルク」と呼ぶのが筋であろう。我々は「コナ」の意味を熟慮しなかったのだから仕方がない。その罪を受け入れ、甘んじて罰を受けなければならない。「液体粉ミルク」と呼ぶことが真の贖罪である。


 おそらく、昆虫界におけるこのような贖罪のプロセスとして「トゲナシトゲトゲ」が生まれたのではないか。もし将来、この液体粉ミルクが保存性を高めるために粉末状に進化したとき……そこに乳製品界の「トゲアリトゲナシトゲトゲ」が誕生するのだ。
 人類は等しく愚かであり、神はそれをお許しになる。がんばってやっていきましょう。
 
■2018-07-01 : 来年の上半期こそ本気出す
 2018年の上半期が瞬く間に終わり、下半期が始まってしまった。
 ところで月の英語名は古代ローマの呼び方を継承している。由来を調べたところ、ざっと以下の通りである。

  • 1月 January
    ローマ神話の出入り口と扉の守護神ヤーヌス(Janus)より。
  • 2月 February
    ローマ神話に登場する月の神フェブルウス(Februus)より。
  • 3月 March
    ローマ神話における戦と農耕の神マールス(Mars)より。
  • 4月 April
    ギリシア神話における愛と美と性の女神アプロディーテー(Aphrodite)より。
  • 5月 May
    ローマ神話における豊穣の女神マイア(Maia)より。
  • 6月 June
    ローマ神話における結婚・出産を守護する女神ユーノー(Juno)より。
  • 7月 July
    ユリウス暦を作ったユリウス・カエサルより。
  • 8月 August
    初代ローマ皇帝アウグストゥスより。
  • 9月 September
    7番目の月の意。なぜ9月が7番目なのかは以前ふれたので略。
  • 10月 October
    8番目の月の意。
  • 11月 November
    9番目の月の意。
  • 12月 December
    10番目の月の意。
 上半期はだいたい神の名前にちなんでいるのに、下半期になると突如皇帝の名前が出てきて、そのあとただ数を数えるだけになることがわかるだろう。やはり古代ローマ人も下半期はやる気が出なかったのだ。来年の上半期こそ本気出す。
 
■2018-01-13 : 時計の針を止めて
 「海外旅行中、時計の時刻を1時間遅らせた。」というとき、我々はどのような動作を想定するだろうか。
 7時を指している時計を8時にする? それとも6時にする?

 とても気になったのでTwitterでアンケートを取ってみた。タイムラインの皆さんのご協力により、自身のフォロワー数を超える138の票が集まった。まずはご多用の中のご尽力に感謝したい。
 そして結果はこうなった!
 ドゥルルルルルルー……ダン

51:49
51%対49%
 正直ここまできれいに割れるものだとは思っていなかった。もうこれは言語としての役割を果たせていないと言っていい。
 7時の時計を8時にするときは「時刻を進める」と言えば誤解はないだろう。しかし逆に6時にするときに「遅らせる」と言うことはできない。「針を戻す」などの表現が必要になるだろう。あるいは「マイナス1時間ずらした」など正負の数を利用するといいかもしれない。

 前に苦言を申し立てたことがあるが、日本語は「ここから後」「ここから先」が両方とも未来のことを指すというおばかっちょ仕様であり、我々は未来永劫この言語のバグと付き合っていかなければならないのだ。

 あなたもblogの過去記事などで「前の記事」「次の記事」のどっちをクリックしたら新しい記事が読めるのか毎回迷うことになるだろう。これはいにしえのBBSの過去ログ機能の影響であり日本語に限ったことではないと思うが、弊サイトの月別アーカイヴでは [next 201802] のように日付を併記することで貴方をナビゲートしているのでご安心いただきたい。
 
■2017-11-19 : 重複表現祭りその2
 結婚式のスピーチと同様、弔辞にもさまざまな「忌み言葉」がある。特に「不幸を二度くり返さない」という意味で、「重ね重ね」「たびたび」「しばしば」「ますます」などの重ね言葉は一般的に禁句とされている。

 故人への思いを素直に伝えたい気持ちにくだらない制限をかけやがって……と思う。「それは不幸を繰り返すタイヘン・シツレイな言葉だ! ケジメしろ! いやセプクだ!」みたいなことをいう古代中国の暴君のような奴がいたのだろう。こういうのが「マナー」として、アクセス数稼ぎが目的のコピペサイトによって大量に複製され、検索すると同じものがどっさり引っかかってくるため、いつまでも廃れるということがない仕組みだ。こういう奴には極端な例をつきつけて、境界の認識をバグらせて目を覚ましてもらうしかない。

 ところで重ね言葉といえば、日本語には重言(冗語)というやっかいな技法がある。いわゆる「馬から落馬」「頭痛が痛い」みたいな奴だ。これは別に日本語として間違っているのではなく、「あえて二度言う」ことの賛否が問われる案件だと認識している。無知から重ねたのか大事だから重ねたのかは表面上はわからないからだ。
 そして「あえて二度くり返す」ことは弔辞においてはマナーに反するという理屈なのだから、当然、重言もマナー違反となるべきで、弔辞に膨大な数のNGワードが追加される形になる。このマナーを考えた奴は正気か? これは大変困ったことだ。たとえば以下のような弔辞はどこまでが許されるのか?

 突然の訃報の知らせを受け、予期せぬ不測の事態にびっくり仰天しています。

 いちばん最後に会ったとき、「神経痛が痛む」と言うあなたに、後で後悔しても遅いからと、損保ジャパン日本興亜のチラシを渡したのが、つい今しがたのことのように思われ、頭をうなだれています。私のマイミクや、あなたのYoutubeチャンネルのファンも同じ気持ちと思います。

 あなたは食べ物を食べるのが何より好きな人でした。臨時収入が入ったと、あらかじめ予約していた店に私を誘い、一杯のラム酒と、酒の肴にチゲ鍋やえんどう豆のポタージュスープを注文していた姿を思い出します。

 あのとき交わした、余分な贅肉を落とし、あなたよりもBMI指数の数値を減らすという約束は、いまだに未完了のままです。あなたに笑われないよう、ここに減量をはっきり明言いたします。
 それが私のmy graduation……

「重言がどうこう言う前に弔辞としてオーケーな部分がない」
「だよな」
 
■2017-09-05 : マルチ農法
 畑にかぶせるマルチというビニールがある。
 畝を黒いビニールで覆っている畑を見たことがあるだろうか。あれがマルチだ。主に地温を調節したり水分を保持したりする目的で使われる。

 しかしこのマルチとかいう奴、名前が気になる。
 いったいマルチな何なのか。マルチシートという名前で売られていることもあるので、これはなんか「スーパー」とか「定期」とか「ケータイ」と同じで肝心の「それが何なのか」の部分を略しちゃったやつのにおいがする。
 しかも言うほどマルチな活躍をしていないのでは? 確かに複数の目的で使われるが、別に万能というわけでもなく、使用方法も「畝を覆う」のみじゃねーの。これが「災害時には寝袋の保温目的でも使えます!」とかだったらマルチを名乗ってもいいのかもしれないけどさ。

 ……と、ひとしきり不満をぶち撒けていたが、どうやら畑の畝を何かで覆うことを「マルチング(Mulching) 」というらしくMultiは何一つ関係なかった。すまない完全に言いがかりだった。浅学菲才を心より恥じる。
 
■2017-04-27 : 誰かプリザーブドフラワーを和訳してくれ
 そりゃあ誰だって最初に「プリザーブドフラワー」の名前を見たときは「ブリザードフラワー」だと思うわ。


 我々日本人はこのような複雑な横文字を正確に写し取る能力に欠けている。そのうえ、我々の語彙の中にはもともと「フリーズドライ」という冷凍乾燥技術の名前が強力にインプットされており、なんかブリザード的な技で生花を乾燥させるんでしょ? みたいな説得力がある。エターナルフォースブリザードフラワー。相手は死ぬ。さらに言えば「ファイアフラワー」というアイテムが世界的ゲームに存在しているのも要因のひとつと言っていいだろう。これについては気の利いた和訳を用意できなかった花卉業界の敗北だと思う。

 なので別に嘲笑する意図はないことを最初に述べておく。「プリザーブドフラワー」のこと「ブリザードフラワー」って言う人を笑うと、「テレポーテーション」のことを「テレポーション」って言ってた牡羊座のムウを敵に回すことになるので命が危ない。

 そういうことなのでリンクは張らないが、Twitterのタイムラインを見ていたら「ブリザードフラワー」という表記が3回も出てくる会話文がリツイートされてきたのを見た。3回も出てくるのでタイプミスや予測変換の暴発ではなかろう。二人の会話なので、表記ベースでなく音声ベースでブリザードしていることになる。
 当該ツイートは3000回近くリツイートされており、これは間違いなく誤りを指摘するクソリプが付いているはず、と思ってリプライ欄を見たが何もなく勝手に不安になった。

 まさか……プリザーブドフラワーのことブリザードフラワーって言うのは……ネタとしてじゃなくて普通にもう許容の域に入っているのでは?
 Googleで検索しても「もしかして:」すら出ないで自然にプリザーブドフラワーの情報が出てくる。なぜか変換できない「ふいんき」がいつしか変換できてしまうようになったように、花卉業界の失策がそのまま日本語に刻まれてしまったのか?


 まて……落ち着け……当該ツイートは「跡部景吾」のプリザーブドフラワーについての会話だった……。
 跡部様といえば氷の世界……「俺たちはブリザード」という歌もある……まさか 跡部様クラスタではブリザードフラワーという愛称で通っているのでは……そうだ……そうに決まっている……!

 ……と自分の中で決着を見たブリザード問題だったが、後日、該当ツイートの主のホームを見たら普通に指摘が入ったらしく訂正していた。チクショー! せっかく決着してたのによォ~~!


 ところでブリザードという極地限定の気象現象を一般の語彙にねじ込んだのは、やっぱり松任谷由実なんですかね。それともファイナルファンタジー?
 
■2016-11-11 : 正しい字形という幻
 小学校社会のテストの東西南北を問う設問で、選択肢に書かれたゴシック体の「北」の文字をそのまま解答欄に転記したところ、「字形が違う」としてバツをもらった、という悲しい話を耳にした。

字体の違い
参考:ゴシック体と教科書体
 ご存じの通り、印刷物やweb上にある漢字は、国語の教科書で習う形とは異なる。それはデザイン上のことであったり、読みやすさの工夫であったりするわけなんだけど、小学生にはまず基本となる手書きの字形を教え込まねばならない。なので教科書本文のフォントは教科書体で組まれている。教科書体というフォントについては東書文庫の資料で簡単に触れられているが、どうやら昭和12年からいろいろ形を変えて存在しているようだ。

 いま「いろいろ形を変えて」と書いたが、つまりそれは「一口に教科書体といっても各社で微妙に細部が違う」ということを意味する。ひらがなですら、教科書によって「せ」の棒や「ら」の点のはねの有無が違ったりする。ショドーにはさまざまな流派があり、どの流派のセンセイが監修するかによって文字の細部が異なるのだ。

 教科書体ですらこのありさまなので、「正しい字形」などというものが幻想である、ということはおわかり頂けると思う。
 先生がたは何事においても最終的に「通信簿」という形で評価・評定をしないといけない職業なので、つねに「正しい知識が定着しているかどうか」を判断しなければならないという事情はわかる。わかるけど、とめやはねなどを含む「字形」と、ついでに「書き順」についてはもう評価の対象にするべきではないのではないか。

 平成28年2月に文化庁が発表した指針の中でも、

○ 手書き文字と印刷文字の表し方には,習慣の違いがあり,一方だけが正しいのではない。
○ 字の細部に違いがあっても,その漢字の骨組みが同じであれば,誤っているとはみなされない。

常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)について
 とあらためてハッキリと言っており、似たような内容は常用漢字表でも手元の教科書でも触れられている。ショドーのセンセイならばともかく、それ以外のシーンで「正しい字形や書き順」を持ち出すのはリソースの無駄だと思う。ただでさえ日本の小学生は欧米に比べて覚える文字が多いのだ。

 字形や書き順は美しい字を書くための指標であり、こう書くのがオススメ!という情報を最初に提示するに留めるべきで、それを強いて定着させることに意味はない。俺が「ニンジャスレイヤーはこの順番で読むべき!!その他の順で読むのは邪道!!」とか言い出したら「うわ……なんか怖い……ニンジャ読むのやめて家でパラッパラッパーしとこ……」となるでしょう?だからみんなもニンジャスレイヤーを自由な順番で読もう。

 だいたいよォーッ……仮に「正しい字形」ってものが存在して、それを基準に○×が付けられるってんならよォー……なんで俺のご先祖様が戸籍つくるときに名字を変な字体で提出したときに×つけてくれなかったんだよォー!!おかげで変換はできねえわ身分証明は面倒くせえわで大変だっつーのよ!もうお役所は全部その正しい字形って奴で通してくれよ!許さんぞ!教育界という狭い庭でエラそうにしやがって!他の省の官僚も黙らせてみろってーの!


 ……最後なんかすごい私感があふれ出たけれど、まあ文化庁や文科省が「正しい字形はないよ」って言ってる以上、冒頭のような指導は減っていくのではないかと思われる。願わくば渡邊さんや齋藤さんたちが大分裂する前にその価値観が浸透すればよかったなと思う。文字コードが割り当てられてしまってからでは何もかも遅すぎるのだ。
 
■2015-12-22 : ようかいしりとり攻略法
 子育てクラスタの皆様はご存じだろうか、『おかあさんといっしょ』の歌『ようかいしりとり』を。

 アップテンポでジャジーな音楽に合わせて、妖怪とようかいはかせが妖怪名でしりとりをしていく歌である。軽快なトラックとは裏腹に、出てくる妖怪名はかなりガチで、聞いたこともない奴がさらっと出てくるので驚かされる。

 この歌の中で、妖怪からようかいしりとりを挑まれたようかいはかせは、

■1番(VSろくろっ首)
ろくろっくび→びんぼうがみ→みつめこぞう→うみぼうず→ずんべらぼう→うまつき→きつねび→びじんさま→まくらがえし→しらぬい→いったんもめん(勝利)

■2番(VS座敷わらし)
ざしきわらし→しちほだ→だいだらぼっち→ちょうちんおばけ→けらけらおんな→なきばばあ→あまのじゃく→くらげのひのたま→まめだぬき→きむないぬ→ぬらりひょん(勝利)

(ようかいしりとり//横山だいすけ&三谷たくみ)
 ……と、作詞者のワザマエの光る鮮やかな連勝をおさめている。


 しかし俺は知りたい!
 ようかいはかせや妖怪たちは明らかに手加減をしている。歌の尺に合わせなければならないからだ。
 歌の都合は関係なく、互いに全力で勝ちを狙いにいったなら、はたしてようかいしりとりはどのような競技になるのか!


 まずは基本的なレギュレーションを確認しよう。
  • 使える単語は妖怪名しばり
  • 最初は自分の種族名からスタートする

 それに加えて、歌詞の中からは読み取れない部分を仮に決めておく。
  • 最後のオンビキ(ー)は削除して判定
  • 拗音「ゃ・ゅ・ょ」は「や・ゆ・よ」として判定
  • 「ジ・ヂ」「ズ・ヅ」は区別しない



 次に使える単語をリストアップしてみる。
 これがいちばん大変な作業であるが、俺は妖怪博士ではないので、今回はwikipedia「日本の妖怪一覧」を流用させて頂く。
 これは「wikipediaベースの知識でようかいはかせに勝てるのか?」という指針でもある。
 この一覧をざっとエクセルにコピペして、以下の補正を行う。
  • 読みが複数記載されているものは別々に登録
  • 「山姥(ヤマンバ・ヤマウバ)」など微妙な発音の違いのみで最初と最後の文字が変わらないものは区別せず登録
  • 「婆(ババ・ババア)」の読みが両方あるものは「ババア」に統一して登録

 そして最初の文字と最後の文字を抽出して考察を行う。



 ざっと見てまず目を引いた文字は「プ」である。
 プで始まる妖怪はいないが、プで終わる妖怪がいくつかいることが明らかになった。つまりこれらを使った瞬間、相手は使える言葉がなくなりゲームは終了する。
 
 プで終わる妖怪とは「イシネカプ」「イワコシンプ」「イワメテイェプ」「コシュンプ」「ヤウシケプ」「ルルコシンプ」の6種である。
 全部アイヌ語ではないか、アイヌ妖怪はアリなのか、という声が脳内を満たしたが、結論からいえばアイヌ妖怪の参戦はアリである。ようかいはかせ自らが「キムナイヌ」を使用しているからだ。

 したがって、今年お亡くなりになり無事妖怪の仲間入りをしたと思われる水木しげる先生が、ようかいはかせの所へ行ってようかいしりとりを挑んだとしても、「ミズキシゲル」→「ルルコシンプ」で即死して終わる。まあ水木先生であれば「プ」で始まる妖怪をご存じである可能性もあるので断言はできないが。
 いずれにせよ我々のレベルでは、このアイヌ6妖怪に連なる「イ・コ・ヤ・ル」の文字で終わったら、次のターンで確殺されることは注意しておく必要がある。


 次に注目したいのは「ズ」だ。
 リストの中に、ズで始まる妖怪は「ズンベラボウ」しかいない。そのくせ、ズで終わる妖怪は歌詞にも出てくる「ウミボウズ」をはじめ、「アカボウズ」だの「クロボウズ」だの坊主系が各種取りそろえられていてかなり手厚い。その数なんと全26種類。ズで攻めるのはかなりお手軽で、かつ攻撃力が非常に高い。
 一度「○○ボウズ」を食らったら「ズンベラボウ」で耐えたとしても即座に「ウミボウズ」か「ウミナリコボウズ」でガードを崩される即死コンボが確定するため、相手に坊主系を使わせないよう立ち回る必要がある。

 となると、先ほどの「イ・コ・ヤ・ル」に加えて「アウオカクグケザシセタトドニヌノ」の16文字が一気に地雷ワードに加わる。
 ようかいはかせが本気なら、二戦目の座敷わらしなど開幕の「ザシキワラシ」を「シロボウズ」のカウンターで取ってからの10割コンボで終了しているのだ。同居人なので気を遣っているのだろう。

 ここまで地雷ワードが増えると、そこから芋づる式に地雷が増えていく。
 たとえば「ベ」で始まる妖怪3種はいずれも「ウ」か「ン」で終わるためこれも即死ルートへの道を開いてしまう。
 同様に「ラ」で始まる妖怪4種も末尾が「ウ・ニ・ル」なので致死である。
 「ベ」で終わる妖怪は6種しかないが、「ラ」で終わる妖怪は26種もいるので誘い出されないよう注意が必要だ。


 もう少し研究すればさらにコンボルートが増えると思われるが、この段階ですでに「ン」を含めて23文字が地雷と化した。用意した全データ1171種のうち571体、ゆうに49%が「使用した瞬間に死ぬ」ワードである。別の言い方をすれば、ようかいはかせにとってみれば約半数の妖怪が「戦った瞬間に勝ち確」というわけだ。
 さすがにそれは可哀相だろう、せめて最初の妖怪名くらいは選ばせてやるべきでは、とも考えたが、そうなると「じゃんけんで先攻を取ってルルコシンプをぶつけたほうが勝ち」というゲームになるのは確定的に明らか。妖怪図鑑を丸呑みするよりじゃんけんの腕を鍛えるべき、という結論になってしまう。


 よって、ようかいしりとりでようかいはかせに勝ちたいのならば、いきなり即死コンボをたたき込める妖怪と化して挑むのがベストである。
 先ほどの座敷童も、座敷童のままでは開幕即死だが、別名義の「お倉坊主」で参戦すれば逆に開幕10割をたたき込んで圧勝できる。
 もしあなたが妖怪と化してようかいしりとりの覇者となりたいのであれば、「瀬坊主」か「黒坊主」あたりがてっとり早い。
 瀬坊主は阿武隈川に身を投げればワンチャンあるし、黒坊主は夜な夜な女性の寝室に忍び込んで口を嘗めるただの変質者だった可能性がある。
 ただし前者は死ぬし、後者は社会的に死ぬ。


 こうなる予感はしていたものの、なんとも味気ない結果になってしまった。
 唯一の救いは、今回使った語群がwikipedia準拠だということで、wikipedia先生の知らない「プ」や「ズ」で始まる妖怪がまだいる可能性が十分あるということだ。
 今後の妖怪研究に期待したい。
 
■2015-08-17 : 酒の部首名
 「酒」の部首がさんずいではなく「酉」だと聞いたときは中国人ふざけんなと思った。
 「聞」の部首がもんがまえではなく「耳」だと聞いたときもふざけんなと思ったが、これはまあよく考えれば「聞くときに大事なのは門じゃなくて耳だよなあ」と納得できたのでグッとこらえることができた。
 だがなんで酒がトリなんだよ!ふざけんなトリ並みの頭しやがって!

 悔しいので調べてみたが、やはりそれはまぎれもない事実であった。

この謎を解くためには、「酉」について考える必要があります。この部首は「とりへん」とか「ひよみのとり」とかいう名前で呼ぶので、なんとなく鳥と関係がありそうな気がしますが、それは「酉」がたまたま十二支で「とり」と読むからだけのことです。もともとは、この字はなんと、お酒をいれる容器を表す象形文字だったのです!

漢字文化資料館 漢字Q&A
 そういえばそうだった。かつて十二支のことを調べたとき、あの漢字群はただの順序を示すものであって、動物は後付けのイメージキャラクターにすぎない、ということを知ったのだった。「酉」は鶏とはまったく関係ない。確かに手元の漢和辞典の「酉」の項にも「象形。口の細い酒つぼを描いたもの」と書かれていた。「酌」とか「酔」とかを見ればわかるとおり、「酉」こそが「酒」の本体だったのだ。
 すまん中国人。だがやっぱふざけんなと言いたい。
 
■2015-07-09 : 復活せよ?させよ?
 昨日突然「アレフガルドを復活せよ」という単語が飛来して俺を悩ませた。

 「復活せよ」?「復活させよ」ではないのか?
 「復活せよ」だとなんか「アレフガルドよ!復活せよ!」と神に祈っているような感じがする。プレイヤーの目的として命令するのなら「アレフガルドを復活させよ!」でないとおかしいのでは?

 だがちょっと待って欲しい。「レインボーブリッジを封鎖せよ」だと織田裕二のがんばりが描かれそうだが、「レインボーブリッジを封鎖させよ」だと一生懸命レインボーブリッジの管理者に電話をかけている織田裕二の姿しか浮かばない。この問題はそう簡単に正解を決めてはいけないような気がする。


 「復活せよ」は「復活する」の命令形だ。
 「復活させよ」は「復活させる」の命令形だ。

 「店を開店する」「店を開店させる」はどちらも使う。だから「店を開店せよ」「店を開店させよ」はどちらも意味に大差がない。
 だが「店を掃除する」「店を掃除させる」となると意味合いが変わってくる。後者は完全に自分の手を離れている。先ほどのレインボーブリッジの感覚はこれに近い。
 そして「店を開店する」は「店が開店する」と言い換えられるが、「店を掃除する」は「店が掃除する」と言い換えることができない。
 このように「○○する」のサ変動詞は、物によって自動詞だったり他動詞だったり両方だったりして、文法的に大変な魔窟になっている。

  • 両方つかえるもの(○店が開店する ○店を開店する ○店を開店させる)
  • 他動詞専用のもの(×店が掃除する ○店を掃除する △店を掃除させる)
  • 自動詞専用のもの(○店が爆発する ×店を爆発する △店を爆発させる)

 この例を参考にいろいろ当てはめて考えてみると、一番下の「自動詞専用」の例がけっこうあいまいだなということに気づく。
 たとえば「店が乱立する」は一見自動詞専用のところに入りそうだが、「店を乱立させる」の意味で「店を乱立する」と言うこともあるのではないか。この場合、本部からエリアマネージャーへの命令は、「市内に店を乱立せよ!」でも「市内に店を乱立させよ!」でもどちらでも通る。


 はたして「復活する」はどちらに属するのか?
 「復活する」はそもそもキリスト教用語で、まだ日本語になって日が浅く、公式の場での使用例に乏しい。だが、我々の世代にとっては、ゲーム用語として当たり前に語彙の中に入っている。
 ちょっと想像してみよう。MMORPGをやっていて、パーティのメイン盾として攻撃を受け止めていた戦士がアワレにも死亡し、パーティが崩れかかっているときに、チャットで僧侶に「戦士を復活させて!」と言うところを「戦士を復活して!」と言……わなくも……ない……か?言うかも?

 いずれにせよ、このゲームのタイトルが「復活する」というサ変動詞の使用法に革新的な影響を与えるであろうことは間違いない。ゲームの内容はあまり革新的でなさそうだけど。
 
■2015-04-27 : 消える免罪符
 歴史の教科書の宗教改革のところに「贖宥状」という見慣れない単語があって驚いた。
 しょくゆうじょう……?我々はこれを「免罪符」として習ったハズ……。

 どうやら「免罪符」という訳は正しくないらしい。罪は免じられるものではなく、罪の結果受ける罰を免じるものだということだ。カトリックでない自分にはいまいち違いがわからないが、とにかくそういう理由で世界史用語としての「免罪符」は消えつつある。

 しかしこうなると、すでに我が国で慣用句として使用されている「免罪符」はいったいどうなってしまうのか。エイプリルフールであることを免罪符に嘘八百を書き連ねた罪はどう贖えばいいのか。そもそもこの場合の「免罪符」の「罪」の概念もカトリック的にはまったく的外れなのではないか。それなのに「贖宥状」に置き換えていく流れなのか。


 人名や地名もできるだけ現地の言葉になるように変わってきている。いつかクリストファー・コロンブスはクリストバル・コロンになるのではないかとにらんでいるが、こうなった場合慣用句としての「コロンブスの卵」は「コロンの卵」になるのだろうか。ならないか。絶対立ちそうにないし。
 
■2014-04-13 : History of Japan
 英語版Wikipediaの「日本の歴史」になかなかアトモスフィアに溢れたパワーワードが多いと聞いて調べてみた。
 ぜんぜん読めないのに書いてある内容はなんとなく解る!スゴイ!
  • タイカ・リフォーム
  • プリンス・ショウトク
  • ザ・グレート・ブッダ・アット・ナラ
  • フジワラ・クラン
  • レディ・シキブ・ムラサキ ―― テイル・オブ・ゲンジ
  • ゲンペイ・ウォー
  • テンダイ・セクト & シンゴン・セクト
  • モンゴル・インベイション
  • カミカゼ(ディバイン・ウィンド)
  • エンペラー Go-Daigo
  • ナンバン・トレード
  • バトル・オブ・セキガハラ
  • シマバラ・リベリオン
  • メイジ・レストレーション
  • イワクラ・ミッション
  • タイショウ・デモクラシー(普通だ)
  • フェブラリー26・インシデント

 なんたるアトモスフィアに溢れる歴史用語集か!
 現代の項目には「カクサ・シャカイ(アンイコール・ソサエティ)」なんていう単語もあった。これがカロウシのように世界共通語にならないよう祈るばかりである。
 
■2014-04-11 : 取り残された名前
 「すでにCG処理に頼りっきりで特殊撮影の技術をぜんぜん使っていないというのに未だに『特撮』というのはおかしい」という意見を耳にして、「すでに( A )というのに未だに( B )という」ものは他にもたくさんあるよなあ、と思った。



 A:筆など入っていない  B:筆箱
 鉛「筆」が入っているから!という申し開きができないわけではないが、下駄箱が靴箱に変わったのに比べて変化に対応できていないな、という感がある。ペンケースに変わらないのは、ペンシルしか入れていない小学生への配慮だろうか。

 A:電話にダイヤルなどついていない  B:フリーダイヤル
 「ミュージック・アワー」の「素敵な恋のエピソードと一緒にダイヤルをして」の部分ですでに「ダイヤル……押して……?」と訝しんでいた覚えがある。スマフォの電話番号入力画面もダイヤルと称しているものがあるので、もう独立した意味を確立したようだ。

 A:ファミコンの情報を扱っていない  B:週刊ファミ通
 これはNintendo64のころさんざんツッコまれていたような気がする。だが幸いダウンロード販売などでファミコンの名前は消えていないし、家庭用ゲームを総称する語感のよい言葉が他に見あたらないこともあって、わりと受け入れられている感じがする。

 A:竜退治の冒険はしない  B:ドラゴンクエスト
 ファイナルファンタジーのファイナルとあわせてツッコまれているところ。ゲームのみならず、技術や市場が急成長した分野には、まだこういう例がたくさん眠っているんだろうと推測される。

 A:神聖ではなく、ローマ的でもなく、帝国でもなかった  B:神聖ローマ帝国
 これはホントになんとかしてほしかった。俺はヴォルテールさんほど詳しくないから、別に神聖でなくても帝国でなくてもこだわらないけど、せめて、最低限、ローマであってほしかった。
 
■2013-06-23 : はさまれしもの
「ビックリマンチョコって、チョコじゃないじゃん。ウェハースじゃん。」

「一応チョコウェハースだから……」

「でもマルセイバターサンドのこと『ほしぶどう』って言ったらマルセイは怒るでしょ?」

「そうは言うけど『まるごとバナナ』はバナナでいいじゃん」

「ぐぬぬ」
 
■2013-06-13 : 12周年
 本サイトは12周年を迎えました。……え!?12周年!?
 12年……つまり俺がここにくだらないことを書き連ね始めたころに生まれた子どもは、いまや小学校を終えようとしているというのである。いったい何をやっていたんだという感が強い。


 それはそれとして、太古から12という数字はスゲエとされてきたものだ。
 以前、時間について書いたときに調べたが、これは天文的に導かれた数字であるのでスゴさはお墨付きである。
 12にまつわるものは、星占いの黄道十二宮とか、ゼウスをはじめとするオリュンポス十二神とか、金剛力士像の十二神将とか、世界中に存在する。
 中でもなじみ深いのが十二支だ。今年が何かもう忘れてしまったけど。

 しかし十二支のいわれを調べてみて驚いた。
 もともとあいつらは、ネズミとかウシとかとは関係なくて、十干(甲乙丙丁……)と同様、ただの順序を示す言葉だったらしい。

十干は甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸の10種類からなり、十二支は子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥の12種類からなっており、これらを合わせて干支と呼ぶ。十干十二支の本義は、古代研究に便利な漢の釈名や、『史記』の歴書によっても、実は生命消長の循環過程を分説したものであって、実際の木・火・鼠・牛などと直接関係があるわけではない。

干支 - Wikipedia
 たとえば、「子」は新しい生命の始まり、「寅」は春に草木が生えた状態、「辰」は草木の形が整った状態……というように、これらの漢字は植物の一生をモチーフにした順序を示す言葉であり、動物は、これを文字の読めない民衆にも受け入れられやすくするために当てられた、いわばイメージキャラクターなのだとか。
 漢字とまったく関係のない動物をどういう基準で当てはめていったのか、そのへんは資料が不足していてわからないが、きっと語感が似ていたとか、漢字の意味に似たイメージがあったとか、漢字が動物にトランスフォームするおもちゃが流行っていたとか、そういう我々にはわからない理由があったのだろう。


 もし十二支がそのまま漢数字となっていたら、12進数の数体系ができていたわけだ。以前、時計を10進法の数字で表すことのめんどくささを書いたが、「子の刻」「卯の刻」という時間の表し方が12進数だと思えばとても合理的だ。十干十二支はあくまで「順番」どまりで、数字にはならなかったのが惜しまれる。