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◆不定期日記ログ◆

CATEGORY 理数

■2019-03-01 : こんぺいとうコンビネーション
 たまにカロリー補給のために春日井製菓のこんぺいとうを買うんだけど、その袋にこんなことが書いてある。
春日井製菓のこんぺいとう
「5種類の混合には注意しておりますが、全種類入らない場合があります。」

 あるのか? 俺は直ちに動き出した。


 容量は105グラムとある。10粒まとめて計量しおよその重量を出して、1袋平均116粒と推定。こんぺいとうの種類は「プレーン」「ぶどう」「もも」「りんご」「サイダー」の5種類である。

 何はともあれ、入っている粒の組み合わせのパターンを数え上げなければならない。となると5種類の粒が116個あるから……5の116乗!? いやまさかそんな無慈悲な数がいきなり出てくるわけがない。

 順番は関係ないわけだから、とにかく最終的に入っている数のパターンを知りたい。それなら多少は計算可能な数字が出てくるはずだ。ここで俺はセンター試験でアホほどやった Combination のことを思い出すことになった。
 この問題は、センター試験でアホほどやった「116個のボールをA、B、C、D、Eの箱に分けるパターンは全部で何通りあるか求めよ」という、いわゆる順列組み合わせの問題ではないか。いやさすがに試験では116個とか無謀な数ではなかったけれども。

 となれば復習タイムだ。
 たとえば「味が3種類あるこんぺいとうが無数にあり,その中から5つ取り出したときのパターンの総数」は、「互いに区別のないボール5個を、区別のある箱3個に分配する」と置き換えることができる。この場合の計算はこんな感じだった。
計算過程1
 これを応用して、5種類のこんぺいとうが116粒入っている場合のパターンの総数は、
計算過程2
 8214570通りと計算できる。……①


 次に、先ほどの条件に「どの箱もひとつ以上ボールが入っていること」という条件を加える。これが「全種類入っている場合」のパターンとなる。0を除くのもセンター試験でアホほどやったパターンだ。この場合はスキマに注目する。
計算過程2
 6913340通りあることがわかった。……②

 そして①-②により、「全種類が揃わないパターン」の総数が求められる。その数なんと1301230通り。
 あとは1301230÷8214570≒0.158で答えはおよそ15.8%……ってアレ?


 いい加減にしろよな……15.8%の確率で揃わないなんてことがあるはずがないじゃあないか……俺が計算をミスったと言いたいんだろ!? そんなことはわかってるんだよッ! だから計算機とエクセルさんとコンビネーション計算サイトで3回も検算してんだよ俺は! その結果がこの仕打ちか! 116粒もあるって言っときながらなんで6袋に1袋くらいの割合で不良品が出る計算になってんだこの……クサレ脳ミソがァーッ!


 ……冷静になれ。人を見下す言い方は良くない。どこかに落とし穴があるはずだ……。
 事例をもっと単純にするんだ……区別のないコイン2枚を投げたときに出るパターンは「表・表」「表・裏」「裏・裏」の3パターン……しかし「表・表」が出る確率は1/3では……ない!
 ああっ……! そうか! パターンを列挙したからといって、どのパターンも等確率で出るなんて保証はない!
 僕は馬鹿だ……。Combination のことにかまけるばかり、こんなに大事なことを見落とすなんて……。


 こうなれば統計的手段に訴えたほうが早い。俺は大量のデータを集めることにした。
 ここで実際にこんぺいとうを買い占めて開封し内訳を数えていったほうが“映える”のはわかっているが、時間も予算もないのでヴァーチャルな解決法を採用する。「ランダムに0から4の箱を選び数字を+1することを116回くりかえす」だけのプログラムを書き、それをさしあたって5000周ほどぶん回した。

 こうして一瞬にして5000袋の仮想こんぺいとうが開封され、内訳が明らかになった。
 出力された結果をエクセルさんにコピーし、試しにプレーン味の個数を度数分布表にぶちこんでみると……。
ヒストグラム
 こいつ……見たことがあるぞ……たしか正規分布って奴じゃあないのか?

 正規分布と仮定してしまえばやるべきことは定まってくる。必要なのは平均値と標準偏差だ。それぞれ AVERAGE 関数と STDEV.S 関数で引っ張ってこれる。
 あとはその2つを NORM.DIST 関数に食わせてやれば、プレーン味が23個入っている確率やら10粒入っている確率やらを個別に推計できる。1粒も入っていない確率もこれで出すことができるというわけだ。

 計算してみると、平均値に近い23粒を中心に、16粒~30粒の間に収まる確率が90%を越える。今回の5000オーダーの中で最も少なかったのは8粒で、確率としては0.02%。そして待望の1粒も入らない確率は、およそ0.0000062%であった。

 これが5種類それぞれに起こりうるので5倍する。2色以上欠ける確率が重複するので厳密に言うと5倍でないが、確率が確率なので無視してしまおう。となるとおよそ0.00003%。これが冒頭の疑問への答えとなる。

 というわけで結論ッ!
 このこんぺいとうの注意書きが機能する確率は、およそ1000万分の3!


 年末ジャンボ宝くじの一等がヒットするのがおよそ1000万分の1と言われているのでとんでもない確率のように見えるが、それでも年間に100万袋くらい生産し続ければ、数年で遭遇しないともいえないくらいの確率である。少なくとも猿がワープロでシェイクスピアの一節を打ち出すよりは高いと思われる。春日井製菓の末永いご発展をお祈り申し上げます。

 この記事は脳内格闘の過程を書き出したものなので、統計ガチ勢や数学ガチ勢からすれば非常に稚拙なものと思われますが、暖かい眼で見守っていただければ幸いです。
 
■2018-02-22 : おしっこしたあとブルッてなる奴のこと
 39.7度の高熱に倒れたので、おしっこしたあとブルッてなる奴のことを考えていた。
 あれの正式名称はシバリング(shivering)というらしいがそんなことはどうでもいい。

 あの震えが起こる理由、はるか昔に「体温の低下のせい」って説明をうけて納得したまま生活してきたけど、よく考えたらおかしいのではないか。
 俺の膀胱の中で39.7度に保たれた尿を外に出したからといって、なぜ俺の体温が下がるのか?
 
 電気ポットの内部を想像する。
 圧力によってお湯を注いだあと、電気ポットの内部にはたぶん外気が入る。それゆえ室内の温度は下がる。これはわかる。
 だが膀胱は確かに温かいものを外に出しているが、出すだけでなにも入っていかない。体温が下がる理由がない。この理屈でいえば、排泄のあと冷たい水を飲んだときに震えがこないとおかしい。

 なのであれはただ体が「カ・イ・カ・ン……」と言っているだけなのではないか、という悲しい仮説だけが残された。調べてみると「原因は不明」とするソースも多いため、あながち間違ってはいないのではないかと思っている。

 こうなると冒頭の「正式名称はシバリング」というトリビアもガセになる。シバリングは「身震い等による体温調整を行う生理現象」だからである。「シバリング」と「しばれる」の語感の共通性については、おそらくもうさまざまな論文が書かれているだろうから調べるのをやめた。


 翌朝、熱は平熱まで戻っていた。
 
■2018-02-05 : 午前0時の交差点
 西洋のコトワザに「It's always darkest before the dawn.(夜明け前がいちばん暗い)」というのがある。要は止まない雨はないという励ましの言葉なんだと思うが、冷静に考えてみると夜明け前よりも深夜のほうがよっぽど暗い。
 気象庁の分類では、「夜明け」は「日の出の前の空が薄明るくなる頃」とされており、0時から3時を「未明」、3時から6時を「夜明け前→明け方」と呼んでいるようだ。これについてはdawnの持つ意味合いが日本語のそれとはちょっと違うのだろうと判断するしかない。

 では真に暗いのはいつになるのだろうか。深夜0時だろうか。日没から日の出までのちょうど真ん中だろうか。あれッひょっとして日没から日の出までのちょうど真ん中の時刻を1年間で平均すると0時になるのか? 0時ってなんなんだ?

 0時を考えるということは、その反対である12時(正午)を考えることでもある。前に考えたこととはちょっと違う。まず俺はざっくりした説明を求めてWikipediaを開いた。

正午(しょうご)とは、地方時において、天球上を一定の速さで動くと考えた平均太陽が地平線より上で子午線を通過(正中:南中または北中)する時刻をいう。

正午 - Wikipedia
 えっと……天球上を……一定の……平均太陽……?
 平均太陽というのがよくわからなかったが、1年間の太陽の動きを平均化したような仮想の概念と理解しておく。そしてこの場合の「子午線」とは、我が国では兵庫県明石市の東経135度線をさす。えっとつまり、正午というのはこの平均太陽が135度線を通過する瞬間と定義されているわけだ。

 ということは、明石市では、太陽が南中する時間を1年で平均するとだいたい12時ちょうどになる理屈だ。明石市の南中時間は解らないが、国立天文台の暦計算室に神戸市の南中時間がまとめられている。このデータを使って神戸市の南中時間を1年間でざっくり平均すると11時59分15秒となった。
 神戸市の経度は135.1833度。時刻は15度で1時間(3600秒)ずれるので、0.18度では43秒くらいずれる計算になる。東経135度ぴったりの地点では平均南中時間はほぼ正午になると考えてよさそうだ。誤差が2秒ほど出ているのは小数点以下を端折ったガバガバ計算だからだろうか。天文学に自信ニキは教えて欲しい。

 というわけで結論!
  • 「夜明け前がいちばん暗い」というが、夜明け前(明け方)は実際明るい
  • いちばん暗いのは日の入りから日の出までの中間地点
  • 東経135度上ではその時刻を年平均するとほぼ0時

 ……ということがわかったが何を調べていたんだっけ。
 
■2017-02-16 : 10ビット突破記念日
 今日は我が娘が誕生して、ちょうど1024日目にあたる。
 1024、それは1と0しか理解しないスイッチングデバイスと十本指の人間が編み出した調和の数。人間の頭脳にもいつかきっとインストールされる、そんな約束の数字。

 十本指……つまり10ビットの情報量でカウントできる数字の限界が1023である。我が娘は本日これを突破し、11ビット目に光が灯った形になる。
 桁を繰り上げるのは大変なのだ。次の桁が用意されていないがためにいきなり最小値に戻ってしまったり、3桁目を表示できないがためにレベル99を突破したときに「あ0」になってしまったりするのである。初代聖剣伝説に至ってはゲームが止まる。そのようなバグもなくここまで成長したことを、まずは素直に喜びたい。

 喜んでいるだけではアレなので、皆様にもこのシンピテキを感じてもらうべく、誕生日から数えて桁上がりが起こる日を計算する装置を一気呵成に作りあげました。自身やご子息ご息女の、次に桁が上がる日を確認してバグに備えてください。
 
 [桁上がり記念日計算機]

 我々の平均寿命がざっくり30000日くらいだということを改めて実感して震えている。89歳まで生きてやっと16ビット目(32768日)に到達する。
 人間のクラスに生存日数のプロパティが用意されていた場合、神はたぶんそれを16ビットのintegerに設定したのではないだろうか。まさか65635日以上生きる個体はいるまい。メモリを節約すべし。そんなふうに我々をプログラミングした可能性がある。
 なので、誰かサイバネ機構を駆使して180歳くらいまで生きてみてほしい。生存日数が65536日目に到達した瞬間、算術オーバーフローが発生し、生存0日目に戻るバグがあるかもしれない。やってみる価値はある。なにしろ人間は数学的には必ず死ぬとは限らないのだ。
 どうでもいいけど「算術オーバーフロー」という響きがやたら強そうに感じてしまうのはFFタクティクスのせいですよね。


 ここから技術的な余談になる。
 このプログラムを書いているときに初めて「2038年問題」にぶちあたって多少難儀した。2038年1月19日になると、時刻を扱うときに使われているUNIXTIMEの桁が溢れて、負の数になってしまうというものだ。これも平たく言ってしまえばオーバーフローの問題である。
 2038年以降の日数を計算するためにDateTimeクラスというものを初めて触ってみたが、現環境では日付の差を計算するdiffというファンクションが動かず、結局UNIXTIMEの数値を強引に足し算して新しいDateTimeクラスオブジェクトを作るという強引な実装になった。
 したがって、このプログラムは入力の段階では2038年問題の影響から抜け出せていない。入力を受け付けないようになっているので、2038年以降生まれの人は諦めてほしい。
 
■2017-01-07 : 12進法干支数字
 この年始にふと「十二支って数字だよな」と思って、10進数から十二支ん数に変換する装置を作った。

 [12進法干支数字]

 しかし十二支を数字に当てはめていく作業にはどうしても違和感が付きまとった。
 ネズミは1か?0か?最初なので0に当てはめたいが、卯月が4月なら当然4がウサギであるべきで、そうなるとネズミが1となる。12番目のイノシシを0に割り当てるしかない。なんでインド人はもっとはやくゼロの存在を教えてくれなかったのか。残念でならない。
 
■2016-06-09 : 国名を冠する元素
 珍しくニュースより。

日本の理化学研究所のグループが発見し、日本に初めて命名権が与えられた「113番元素」について、化学に関する国際機関は名前の案を日本の提案どおり、日本ということばを取り入れた「ニホニウム」に決め、日本時間の8日午後10時半、ホームページで発表しました。また、元素記号の案を「Nh」に決めたと併せて発表しました。

(NHK NEWSWEB 6月9日 4時48分)
 新元素名「ニホニウム」が国際的に正式決定されるにはまだ半年近い時間がかかるようだが、この「国名を冠する」ことに対して気恥ずかしさを感じる諸兄もおられよう。
 元素表を見れば「フランシウム」「アメリシウム」など地名を冠した元素はたくさん見つかるので、ちょっと地名由来の元素名を調べてみることにした。以降、Wikipediaに毛が生えた程度の情報しか調べていないことをご了承いただきたい。


 新しい元素のほうから当たっていくと、「ダルムスタチウム」「ドブニウム」など研究所のある都市からとられた名前が多いことがわかる。やはり元素を発見しまくって国名などとうの昔につけてしまった欧米は余裕が違う……と思いかけたが、研究チームが国際化している現代においては当然の措置といえよう。
 理化学研究所は埼玉県和光市にあるので、これに従うと「サイタミウム」とかになる。急にニンジャスレイヤー感が増してきた。サイタマの語感が持つ存在感はすごい。

 先ほど出た「アメリシウム」だが、これは単純に「我が合衆国が見つけたぜ!USA!USA!」という意味ではなく、元素周期表で「ユウロピウム」との位置関係で、アメリカ大陸から名付けられたものらしい。アメリシウムを発見したカリフォルニア大学バークレー校は、このあと立て続けに「カリホルニウム」「バークリウム」を命名しており余裕がすごい。理研におかれましては引き続き「サイタミウム」と「ワコニウム」を探していただくほかない。
 ところでアメリシウムって地名由来でいいんだよね……?さすがにアメリゴ・ヴェスプッチの威光はここまで届いてこないよな?

 「フランシウム」については国名由来であることは間違いなさそうだが、それより遙か前にフランスのラテン語名「ガリア」を冠したと思われる「ガリウム」があり、パリの古名ルテティアにちなんだ「ルテチウム」があるので今更感がある。この「旧国名・旧地名を冠する」というパターンは他にもドイツの「ゲルマニウム」をはじめとして数多くある。
 なぜ現在の国名でなく古い国名を使ったのかはわからなかったが、なかなか奥ゆかしい命名法ではなかろうか。これに従うと日本は「ヒノモティウム」とか、埼玉で武蔵国なら「ムサシウム」が使える。ムサシはかっこいいと思うがなんかむさ苦しそうだな。

 あと国名を冠していそうなのはポーランドの「ポロニウム」だが、これが発見されたころポーランドは絶賛分割中であり、国家としては存在しなかった。これはかなりデリケートな命名だったのではないだろうか。だって台湾のチームが発見して「中華みんこキウム」とか名付けたら中国共産党は激おこになるでしょ。よく通ったな。それだけキュリー夫妻の能力が高かったのか。


 こうして調べてみると、意外と「いきなり国名をストレートにつける」という例はあまりないことがわかる。が、当然理研の先生方はこういった命名の歴史を重々ふまえた上で「ニホニウム」を選んできているわけで、そこに意見をさしはさむ意図はまったくない。

 ただひとつ、語源の由来を調べていて特筆しておきたいことがある。

  • イッテルビウム……スウェーデンの小さな町イッテルビーから。
  • エルビウム……スウェーデンの小さな町イッテルビーから。
  • テルビウム……スウェーデンの小さな町イッテルビーから。
  • イットリウム……スウェーデンの小さな町イッテルビーから。

 スウェーデンの小さな町イッテルビー何者だよ……調べてみると採石場から珍しい鉱石が出たらしいがいくらなんでもちなみすぎだろ!上九一色村から「カミクイシキウム」と「カミクイシウム」と「クイシウム」と「シキウム」が発見されたらさすがにおかしいと思うだろ!特にイットリウムがあるのにイッテルビウムを命名した班!なんとかならなかったのか!?
 
■2015-04-03 : 水酸化バリウム来訪者
 ビーカーの中に塩化アンモニウムの粉末とともに入れてかき混ぜるッ!
 その原子結合の変化は、温度計に劇的な冷却力をあたえるッ!

 これがッ!これがッ!
 これが「Ba(OH)2」だッ!
 そいつに触れることは冷却を意味するッ!バオー・吸熱・リアクション!
 
■2013-12-02 : 幾何パズル
 正方形を分割して組み替えたら、あら不思議!面積が増えた!的なパズルがある。
面積
増えた!
 図をご覧いただきたい。8×8=64平方cmの正方形を分割して組み替えたら、5×13=65平方cmになっている。面積が増えた!やった!金塊でこれをやったら大金持ちだ!

 …と言いたいところだけど、お察しの通り、1平方cmぶん隙間ができているだけだ。



 実際に厳密に組み替えて「ここが歪んでるから面積が増えたように見えるんだよ」と指摘するのは簡単である。しかし、「うるさいそれはオマエのハサミが曲がってるんだ、数学的に証明してみろ」と言われたらどのように説明するだろうか。
 「ハサミを振り上げる」とか「カラテする」とかは無しの方向で考えてみたい。

 まっさきに思いつくのは各図形の面積を求めて足すことだが、それは元の正方形の面積を計算しなおしただけであり、それを組み替えて面積が増えたように見える理由を示すことはできない。
 とりあえず真面目に中学3年レベルの数学で証明する方法と、中学1年レベルの数学でなんとかする方法を思いついた。
 数学好きはヒマなときにでも考えてみるとおもしろいと思うよ。
 
■2013-06-04 : 勝率99.99%の罠
 ちょっと古い記事だが、「ザック日本W杯決定同然!確率99.9938%」という記事を読んだ。

日本代表はW杯アジア最終予選を2試合残すが、本大会に出場する可能性が限りなく100%に近いことが10日までに判明した。統計家の西内啓(ひろむ)氏(31)によると、最終予選を突破する確率は99・9938%という決定的な数字が導き出された。

nikkansports.com 2013年4月11日

 勝率99.9938%!
 ここまでくると逆に不安になる。もはや敗北フラグではないのか。こういうスゴい勝率が示されたときはだいたい「たとえ0.0062%しか勝つ見込みがなくても俺たちには仲間の絆とか約束とか怒りとか愛とかがある!」って言われて逆転負けするパターンだ。聞いてるか黒薔薇のミッシェル。

 しかし記事には要素を一つずつ計算している過程が書かれている。過去20年にアジアで行われた試合から勝率を求め、1試合あたりの得失点差の平均値から得失点差が逆転される確率を求めて、99.9938%という数字が統計的に出されている。
 それぞれの数値が妥当なものかは詳しくないのでわからないが、こうして使った要素と計算過程が書かれていると、そうそう99.99%の確率は覆せるものではないなと実感できる。野球にも打率とか防御率があるが、それよりもっとアナログなサッカーの試合さえも、大きく平均値で捉えれば統計的に扱うことができるのだ。

 だが平均値の弱点は、でかい分散が平らにならされてしまうことだ。1等2億円の宝くじだって平均値にならしてしまえば期待値150円弱の紙切れにすぎない。つまり、ヨルダンに少林サッカーないしはイナズマイレブン的な選手が突如加入して無双しはじめるとか、観客席に「闇の魔術に対する防衛術」の先生がいてキーパーが動けないように魔法をかけてくるとか、そういう事態が起こったら、平均値の幻想は崩れ去る。


「観客席に闇の魔法使いがいる可能性こそ0.001%もないと思いますけど」


 まあそりゃそうなんだが、つまらないじゃないか、この確率じゃ。
 
■2012-05-17 : 確率論
 カタン付属のダイスが、なんだか出目が偏るので、新たに通販でダイスを買った。
 各数字がキッチリ1/6の確率で出るダイスなんて数学の教科書にしか存在しないので、数を増やすことで対応するのだ。

 ……出目が偏るとは言ったものの、たぶん、実際はそれほど偏ってはいない。
 人間の「確率」に関する感覚は全面的にアテにならないからだ。
 たとえばこんな問題がある。

 たかし君とけんじ君が、6発の弾が入るリボルバー式拳銃で、ロシアンルーレットをします。拳銃の弾倉には、2発の弾丸が隣り合わせに込められています。最初にたかしくんが弾倉をよく回し、引き金をひいたところ、弾は入っていませんでした。次はけんじ君の番です。けんじ君は次の(1)(2)のうち、どちらのほうが生き残る確率が高いでしょうか。
(1)もう一度弾倉を回してから引き金をひく
(2)そのまま引き金をひく

(マイクロソフト入社試験問題)
 計算するとわかるが、(2)のほうが生存確率が高い。
 感覚的に考えると5発中2発アタリで(2)が不利な気がするがそんなことはない。
 確率の問題になるとすぐ計算をあきらめて樹形図を描き始めるタイプの学生だったので、図を描いて理屈は理解はしたものの、どうも感覚としては理解しがたい。

 人間の感覚と、実際の確率は、どうもズレている。
 おそらく、日常生活において、確率がどうであろうと実際に起こる事象はただ1つだから、というのが要因だろう。
 天気予報で降水確率が30%だったとしても、カサを3割だけ持って出るわけにはいかない。
 結果として「降るのか、降らないのか」だから、確率としての30%が感覚になじまないのだ。

 最近コンプガチャが新聞に載るレベルの騒動になった。
 え、そっちなの、リアルマネートレードを放置してるほうが根幹なんじゃねえの、と思ったけれど、叩きやすいところを叩くのが世間の常道なので仕方ない。
 これも人間の感覚と確率のズレを利用した儲け方である。
 確率の問題の中には、ギャンブル好きの貴族と数学者の書面のやりとりで産まれたものも多い。昔から、誰かを騙したい奴が確率を使い、騙されたくない奴が確率を学んできたのだ(偏見)。
 これに至って、中学生諸君は「数学なんて将来なんの役に立つんだよ!」という決まり文句から確率と統計を除かざるを得ないであろう。
 
■2012-02-29 : 12k年前から愛してる
 「1億2,806万人」とか「92兆4,116億円」みたいなコンマの入れ方が気に入らない。


 別に三桁区切りであることは良いのだ。
 会計での数字の扱いは、完全に欧米式がデファクトスタンダード。「区切り方なんてExcelに自動翻訳させて、日本人が読みやすいように四桁区切りにしようぜ!」と思わなくもないが、今あえて逆らうことじゃあないだろう。

 気に入らないのは「万・億・兆」という四桁区切りで表記しておきながら、意味もわからず三桁目にコンマを入れてしまっている点なのだ。
 これこそ四桁区切りの敗北と言わずしてなんと言う!


 とはいえ、四桁区切りの数え方を持つ我々にとって、欧米式のミリオン・ビリオン・トリリオンはいまいちなじみにくいのも事実。
 貿易額とかの統計で単位が「十億円」とかになってるのもちょっと悔しい。
 兆になるとトリリオンと一致するのでやや助かるが、そもそもトリリオンにあまり馴染みがないのでありがたみが薄い。


 このギャップを埋めるため、未来の我々は「キロ・メガ・ギガ」等のSI接頭辞を利用しているのではないか、と想像した。
 ネット上ではいつからか、千円のことを「1K」、一万円のことを「10K」などと隠語めいてSI接頭辞が使われてきた。 
 この用法は三桁区切りなので、これに慣れると欧米式の三桁区切りが感覚的に扱えるようになる。冒頭のような奇妙な位取りが使われることもなくなるだろう。

 英語教育のせいで、ミリオンやらビリオンやらに苦手意識を持っている人も少なくないはず。ぜひ脳内にメガ円やらギガ円を採用し、三桁区切りに慣れていきたい。
 何よりこれを採用すると、宝くじの当選金が100メガショック!とかになる。なかなか悪くない響きだ。
 
■2012-02-07 : 戦闘力と接頭辞
 ドラゴンボールを代表する名ゼリフの中に、

 「戦闘力たったの5か……ゴミめ」

 というのがある。
 これは地球にやってきたフリーザ軍の末端戦闘員ラディッツさんの言葉で、ラディッツさん自身の戦闘力は1,500である。
 また、フリーザ軍の主力戦士の皆さんは、おおむね20,000前後から120,000の戦闘力を持っていらっしゃる。フリーザさんに至っては530,000もある。
 地球で大魔王と恐れられたピッコロさんですら戦闘力322だったのだから、地球など取るに足らない惑星だと思われるのは当然だ。


 ……戦闘力322?
 ちょっと待って欲しい。なんで1刻みなんだ?
 お前らのスカウター、精度が高すぎないか?
 インスタント戦力であるサイバイマンですら1,200なのに、なぜそんな細かい数字がいるんだ!?

 1刻みで500,000以上まで測れるとしたら、500kgまで測れる重量計で一円玉を測るような状態。とんでもねえ精度だ。
 真面目にこんな精度を実装しているわけがないので、強敵探知用と要人探索用に感度を切り替えられるようになっているんだろう。
 たとえば電流計みたいに、ケタ数を切り替えられるとか、そういう仕組みなのかもしれない。
 戦闘力の急上昇を感知すると爆発するのは、たぶんここの自動切り替えが機械的に上手くいっていないのだと見た。戦闘力を上下できる種族は珍しいらしいし。


 それ以前の問題として、そもそも単位(仮にBP)が裸なのがおかしい。
 戦闘力1BPが何を基準にしているのか知らないけれど、フリーザ軍の中ではみんな1000単位で使っているじゃないか。
 速やかに単位にSI接頭辞をくっつけて、「サイバイマンは1.2キロBP」とかにすべきではないのか。
 これを採用するとベジータさんがスーパーサイヤ人になった段階で、戦闘力は100メガショック!になる。なかなか悪くない響きだ。
 ……まあ、そのくらいの量になっちゃうことがわかってるんなら、デシベルみたいに対数を使った単位にしとけって話だけど。


 無粋な考え方だけど、少年誌なんだし「530キロBP」より「530,000」って言った方が迫力が伝わる、という判断でわざわざ大きな数字をやりとりしているのだろう。タウリンだって1,000ミリグラムだ。
 そういえば去年、シーベルトのミリとマイクロを取り違える話題があった。
 少年誌レベルで生きている我々に安全性を伝えたいのであれば、シーベルトはミリやマイクロでなく無印のまま出せばよいだろう。
 
■2011-10-04 : 午後12時の交差点
 午後12時とは昼か夜か。
 そんなくだらない疑問から考えた話。

 午前も午後も0時から始まる。
 つまり午後12時は午後の最後の瞬間だ。
 論理的に考えれば、この疑問にはカンタンに片が付く。

 ……だが、よく考えると違和感がある。
 午後12時は「瞬間」なのだ。
 厳密に定義すれば、存在しないと言っても良い。
 12時半、みたいな言い方をよくするけれど、これは24時間記法でない場合はありえない。

 2進法には「2」という数字はない。
 10進法には「10」という数字はない。
 であれば、時計の12進法にも「12」という数字はなくてしかるべきなのだ。

 もし我々が10進法の時間を使っていたとして、かつゼロの存在を知っているとしたら、文字盤のてっぺんにわざわざ2桁使って「10」と書くだろうか?
 普通レベルは99で止まるものだ。それ以上上げるとステータス欄に収まらなくなる。さいだいHPも255で止まるものだ。それ以上上げると8ビットの情報量では扱えなくなる。10進法にしろ16進法にしろ、「桁を上げる」のには相当な労力が要るのだ。 

 10進法用の数字のまま12進法を使ったせいで、我々はその労力を意識することはなかった。
 だがあれはあくまでも12進法。12という数字は桁上がりであることには違いない。そろそろ文字盤の12は退場してもらって、0にその座を譲るべきなのではないのか?



 おそらく、時計の文字盤としてはもっともメジャーなローマ数字にゼロが存在しないことが大きな要因だろう。
 ゼロという概念が広まったのと、12時という概念が広まったのと、どちらが早かったのかはわからない。だが文字盤にローマ数字を使い続ける限り、12の立場は安泰だろうと思われる。残念である。
 
■2011-09-21 : ボーイフレンドの資格
 aikoのボーイフレンドになる条件として「テトラポッドに登って宇宙に靴を飛ばす」ことが挙げられる。
 では宇宙に靴を飛ばすにはどれだけの脚力が要るか?
 ……という計算をしている人を見つけた。
 それによると、

靴の質量は500gとしよう。
これを地表面から100kmまで持って行くために必要なエネルギーは、4.9×10^5Jである。
(中略)
つまり、足で37tの力を出せる人は、宇宙に靴を飛ばすことが、可能である。

「数学ネタ。」第102回 宇宙に靴を飛ばす方法
 とのことだ。
 37tのキック力……いったいどのくらいなのか。



 怪人のみなさんをブッ飛ばす、仮面ライダーのみなさんのキック力は、おおむね10t前後に設定されている。イケメン揃いである仮面ライダーのみなさんでも、aikoのボーイフレンドになるのは難しいようだ。
 一部の最強フォームなら可能だけど、宇宙に靴を飛ばすためにアルティメットフォームになるようではモテないだろう。

 だがノーマルフォームでこれができる男がいた!
 仮面ライダー響鬼さんのキック力は最大10666貫。約40tに相当する。
 今のところボーイフレンド該当者は響鬼さんしかいない。
 さすが鍛えてる人は違うなと思った。
 
■2011-08-05 : 伝統的七夕
 明日は旧暦の7月7日にあたる。
 七夕が雨だったり満月だったりするたびに、七夕だけは旧暦(太陰太陽暦)に戻すべきだと思うんだけど、調べてみると国立天文台も似たような主張をしていた。

 太陰太陽暦は、明治6年に現在の暦が採用されるよりも前の暦で、現在は公には使われていません。このため、伝統的七夕の日は、太陰太陽暦による7月7日に近い日として、以下のように定義します。
 二十四節気の処暑(しょしょ=太陽黄経が150度になる瞬間)を含む日かそれよりも前で、処暑に最も近い朔(さく=新月)の瞬間を含む日から数えて7日目が「伝統的七夕」の日です。

国立天文台webサイトより
 やけにまわりくどいのは、政府が採用していない旧暦を国立機関が奨励するわけにはいかない、という事情と、より厳密に星空が見やすい日を、という計算による。
 これによると今年の七夕は8月6日だが、来年は8月24日までずれこむ。
 ちょっと年中行事にするには苦しいかもしれない。

 だが、よく考えたら明治政府が太陽暦を採用したときにその旨を織姫と彦星に報告したとは考えにくいので、彼らはまだ普通に旧暦7月7日に会ってるのかもしれない。
 いまさら国立天文台が「伝統的七夕」を通達したところで、それが織女星に届くまで光速でも25年かかるので、いっそみんな旧暦で七夕をすべきじゃあないだろうか?
 
■2010-10-18 : TAN’I
 長さの単位は「メートル」、時間の単位は「秒」。
 そして速度は「秒速○○メートル」とか「○○メートル毎秒」と表される。

 ……なぜ速度の単位には名前がないんだろう?
 1秒ごとに10メートル進むから「10メートル毎秒」。わかりやすい。
 だが、スマートじゃあないと思う。

 「1秒間に1ジュールぶんの仕事をする仕事量」を1ワットとしたではないか。
 「1時間に1海里進む速度」には1ノットという名前があるではないか。
 なぜ「1秒間に1メートル進む速度」に名前をつけなかった!?
 ワットとかより頻繁に使うくせに「時速40キロメートル」とか煩雑だろ!
 加速度の単位が「1メートル毎秒毎秒」になったときに、誰もツッコまなかったのか!


 我々が古くから使っている単位は、身近なものをモノサシにしたものが多い。
 フィートとかエーカーとかの単位が消滅しないのは、イメージしやすいからだ。
 日本人だってまだ「四畳半」くらいの感覚はあるだろう。
 ひと世代後にはどーなってるかわからないけど。

 不動産表示に使われる「徒歩1分」は、80メートルのことらしい。
 分速80メートルを「徒歩の速度」として定義しているわけだ。
 「速度」という概念を編み出した人が、真っ先にこれを使うべきだったのではないか。

 いや待て、速度という概念を編み出した人って何だ?
 ワットやパスカルと違って、そういう人がいないんじゃないのか。
 こうなると、誰か有名な人にご登場頂かなければならない。

 現在人類最速の男、ウサイン・ボルトは、平均時速37キロメートル強で走るらしい。
 この速さを単位にすれば、「ボルトの2倍速えー!」という感じでイメージしやすい。
 37km/hを「1ボルト」として定義して……ピカチュウ速えー!


 昔の人が、速度の単位に名前をつけなかったのは、
 誰もがイメージできる速度のモノがなかった、というのももちろんだが、
 そもそも速度を定量的に示す必要があまりなかった、という可能性もある。
 人間同士とか馬同士だったらもう競走しちゃうだろうし、矢は比較するには速すぎる。
 「サラマンダーより、ずっとはやい!!」で足りていたのだ。

 よく考えたら我々だってそうだ。
 ネズミ捕りのポリスメンがいなかったら、時速なんて生活の中に登場しない。
 速度……身近だと思っていたが、意外となじみが浅い単位だったんだな……。